日本宣教拡大を目標にブレス・ユア・ホーム(株)を設立して、間もなく10年が過ぎようとしています。この間、多くの先人たちの献身的な働きを通しても、霊的な覚醒が起こらなかった日本社会に対し、今までにない顕著な効果を求め、さまざま試行を繰り返してきました。
その中で、介護保険外サービスとして始めた「話し相手・付き添いサービス」が、事業性は全くないものの、宣教効果の極めて高い働きであることを知りました。私たちは、この働きを全国に拡大展開させるため、働きの仕組みを祈り求めるようになりました。
(一社)善き隣人バンクの設立
やがて2021年1月、私たちは完全非営利型一般社団法人「善き隣人バンク」を設立することになりました。そして、それまで有料で実施していたこの働きを全て無料で行うこと、継続的な傾聴活動に特化すること、さらに寄付金を集め、スタッフを雇用して全国に展開できる組織的な働きにすることを決心しました。
それから約3年の月日が経過し、「善き隣人バンク」は着実に全国に拡大を続けています。特別な募集や広告に頼ることなく、依頼者やスタッフがおのずと増えています。資金が足りないため、やむを得ず自己資金で補っていますが、寄付金も徐々に増え、教会関係者だけでなく、教会外からの応援、支援も頂けるようになってきました。
今後、この働きは日本宣教の中核的存在となり、その他の多くの働きと連携し、日本宣教拡大に大いに貢献していくことでしょう。私たちは、神様から頂いたビジョンの完成を目指し、信仰を持って働きを進めたいと思います。
信じることがなければ達成することもない
かつて私は、31年余り続いた前職(トヨタ自動車の研究開発職)において、実際の開発の中から、極めて重要な将来技術を見いだすことが何度かありました。その中にはその後、世界中で用いられる重要な技術になったものもあり、最も早い段階で、将来有望な技術に触れる経験を得たことを、大変ありがたく思っています。
ただ、実験室の片隅で見いだした技術が、将来の世界標準になると、私自身が信じ切れなかったため、多くの重要な新技術を取りこぼしてしまったように思います。もちろん会社から明確な指示がなかったという言い訳はできるのですが、開発現場にいる者こそが、技術の価値を知っているわけですから、信仰を持って地道に開発を進めるべきだったと反省しています。
多くの新技術の特許出願に至りながら、中核技術を育てられなかった理由は、ひとえに将来の完成した姿を信じられなかったことに尽きるのでしょう。
ダビデの信仰の石
紀元前1000年ごろ、イスラエルはダビデ王のもとで統一国家になりましたが、ダビデが羊飼いをしていた少年時代、当時イスラエルと敵対していたペリシテとの戦いにおいて、たった一人でゴリアテという巨漢の戦士を倒したことがありました(旧約聖書・第一サムエル記17章)。
ゴリアテの身長は約2・9メートル、青銅のかぶとをかぶり、身にまとうよろいは約57キロ、脚には青銅の脛当てを着け、肩には青銅の投げ槍を背負い、手に持つ槍の鉄の刃は約6・8キロだったそうです。彼は40日間、朝と夕の2回にわたり、イスラエル兵たちを辱め、おごり高ぶる様子を見せていました。
これに対し、少年ダビデは羊飼いでしたので、羊を守るためにいつも携帯していた杖と、投石器と、川で拾った滑らかな5個の石だけを持って戦いに挑みました。
ゴリアテの前に勇ましく進み出たダビデは、「おまえは、剣と槍と投げ槍を持って私に向かって来るが、私は、おまえがそしったイスラエルの戦陣の神、万軍の主の御名によって、おまえに立ち向かう」と叫び、素早く石投げから一つの滑らかな石をゴリアテに向けて放ちました。
ダビデの放った石は、ゴリアテの額の真ん中に食い込み、少年ダビデはたった一発の滑らかな石で巨漢ゴリアテを倒し、その後、勢いを得たイスラエルは戦いに勝利し、ペリシテを追い払うことができました。
ダビデにとって、巨漢ゴリアテとの戦いは、羊飼いとして、羊を襲う獣たちに立ち向かう日常の戦いと同じことだったと思います。彼は神様を信頼していつものように行動したのでしょう。一発の「信仰による滑らかな石」が獣を倒すように、巨漢ゴリアテを倒す力のあることを、ダビデは日常の働きからよく理解し、当然のように勝利を得ることができました。
日本宣教は必ず拡大する
試行錯誤で始めたブレス・ユア・ホーム(株)の働きは、さまざまな経験を通し、日本宣教拡大に向け、目指すべき形がはっきりとしてきたように思います。
私たちは、臆することなく頂いたビジョンの完成を目指し、目の前にある働きを着実に実行していく所存です。日本宣教は必ず拡大していくことでしょう。私たちにとって「信仰による滑らかな石」は、日常的に私たちの目の前にあることをいつも覚えたいと思います。
信仰は、望んでいることを保証し、目に見えないものを確信させるものです。(ヘブル人への手紙11章1節)
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