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日本人に寄り添う福音宣教の扉

日本人に寄り添う福音宣教の扉(192)なぜ宣教が進まないのか、要因解析と対策立案 広田信也

2024年2月24日12時11分 コラムニスト : 広田信也
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関連タグ:広田信也

仕事のスタイルは職種によって随分と違いますが、私は前職(企業の研究開発職)を通し、難しい課題の要因を解析し、対策を立案する習慣が身に付いたと思います。退職後、国内宣教を10年ほど続けましたが、仕事のスタイルは変わらず、「なぜ宣教が進まないのか」という難題に対し、前職のように試行錯誤を続けています。

なぜ宣教しないのか、できないのか

宣教が進まない理由を一言で語るなら、「宣教しないから、宣教が進まない」というのが単純明快な答えだと思います。その証拠に、大半の日本人は福音に触れたことがありません。

それでは、「なぜ宣教しないのか、できないのか」という問いに対してですが、この点に関しては、日本人特有の側面も関係し、さまざまな角度で要因解析に導かれました。

宣教は、信者が未信者に寄り添うことから進みますが、残念なことに、地域教会の閉鎖性は進み、信者が未信者に寄り添う機会は少なくなっているようです。宣教の力は弱くなる一方です。

私は前職を退職し、55歳から聖書学校に入り、多くの若い献身的な信仰者と親しくなりました。彼らの純粋な信仰姿勢に励まされましたが、彼らの交友関係が数少ない教会関係者に偏っているのには大変驚きました。私の友人の多くは未信者ですが、彼らの友人の大半は信者でした。

彼らが教職者となり、日本の教会を指導していく中で、どのように未信者との交流を深め、宣教を拡大できるのか、大きな課題を見つけたように思いました。

共有できる価値観によって交流が生まれる

日本人は共同体を大切にする国民です。共同体に所属し、その中で良い交流を得ることで人生は充実します。ところが、共同体の中で交流が活発になると、異なる共同体に所属する人とは交流しにくい状況が生まれます。この傾向は日本人全てに当てはまり、教会に限ったことではありません。

ただ通常、自分の所属しない共同体であっても、同種の共同体であれば、ある程度の連携や交流が生じます。お互いに共有できる価値観があるからです。家族同士の付き合いや、同種の企業を束ねる業界の交流、一般の企業連携もそれに当たります。

ところが、教会のように「信仰」に基づく共同体の場合、「信仰」という価値観がその他の共有できる価値観より優先されるため、交流できる共同体が少なくなってきます。

未信者の共同体との交流が少なくなると、当然、未信者に出会う機会は少なくなり、教会の閉鎖性は一段と深刻化します。新しく信仰を持つ人も限られてきます。

未信者の共同体との交流

私たちの働きの目的は日本宣教の拡大ですから、教会の宣教の働きと同じです。しかし、一般社会にとっての敷居を低くするため、株式会社と一般社団法人の形態を取り、事業展開を実施してきました。確かに「信仰」を優先させていますが、積極的な表現は使わないようにしています。

そのことが功を奏したのか、しだいに未信者との交流が多くなり、「信仰」に導かれる方が増えてきました。また、未信者の共同体からも、連携を求める連絡が頻繁に入るようになりました。彼らには絶対的に優先される「信仰」のような価値観がなく、より共有できる価値観を探して交流を望んでいます。

未信者のネットワークは、信仰者のネットワークよりはるかに広範囲で活動規模が大きいため、宣教が日本各地に拡大するカギは、未信者の共同体との交流にあると感じるようになりました。

経済活動の約束が交流を促進する

通常、共同体同士が交流する際には、活動の内容に沿って約束が必要になります。一般的には、契約書を交わすことで、より親密な交流に発展します。

お互いの個人的な情報や権利が守られるための「機密保持契約」「ライセンス契約」、また、新規に活動するためには「共同開発契約」「請負契約」、営業や販売に関しては「販売契約」など、堅苦しいようですが、これらの契約が交わされてこそ、共同体同士が活発に交流できるようになります。

これらの契約書の主な目的は、活発な交流に際し、必要な経済活動におけるトラブルを避けることにあります。聖書の言葉を借りれば、「不正の富」(金銭)の取り扱いを忠実に実行させるツールです。

教会が他の共同体とこのような契約を交わせるようになると、未信者の共同体であっても、積極的に共有できる価値観を見いだし、交流を深めていくことができると思います。まさに、不正の富によって友を作ることになるのです。

教会が経済活動の契約書を交わせるようになるか

現在のところ、教会が積極的に経済活動を行い、未信者の共同体と契約書を交わすようになるには、かなりのハードルがあるように思います。それほど難しいわけではないのですが、前例が少ないのは確かです。

もちろん、宣教拡大の手段は多岐にわたり、上記に限ったことではありません。しかし、現在の地域教会の状況を抜本的に改善し、宣教拡大を軌道に乗せるには、この方法が最善のような気がしています。

わたしはあなたがたに言います。不正の富で、自分のために友をつくりなさい。そうすれば、富がなくなったとき、彼らがあなたがたを永遠の住まいに迎えてくれます。(ルカの福音書16章9節)

ですから、あなたがたが不正の富に忠実でなければ、だれがあなたがたに、まことの富を任せるでしょうか。(ルカの福音書16章11節)

今後、教会と未信者をつなぐ橋渡しを、私たちが積極的に担えるようになりたいと願っています。そのための要因解析と対策立案の作業は、これからもずっと続いていきます。

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◇

広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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