紛争当事国・地域の宗教指導者や政治指導者を招いて平和について話し合う「諸宗教平和円卓会議」の2回目の会議として、「第2回東京平和円卓会議」が19日、ハイアット・リージェンシー東京(東京都新宿区)を会場に開幕した。ウクライナ戦争が勃発した2022年、平和構築に向けて宗教者や政策立案者らによる対話の必要性が叫ばれ、1回目の会議として「第1回東京平和円卓会議」が実現。それから1年半後に開かれる今回の会議では、前回発表された声明文に基づき、諸宗教による平和的対話の機運の永続化などを目指し、3日間にわたってさまざまな発表や話し合いが行われる。
「第2回東京平和円卓会議」が声明文発表し閉幕、代表者らが記者会見>>
19日午後に行われた開会式には、日々のニュースで取り上げられている紛争当事国・地域であるウクライナやロシア、イスラエル、パレスチナを含めた16カ国・地域から約100人が出席。オンラインでもライブ配信され、約100人が視聴した。
開会式では初め、教派神道の一つである黒住教の黒住宗道教主と、ミャンマーから来日したカトリック教会のヤンゴン大司教チャールズ・マウン・ボ枢機卿が、平和を求めて祈祷。その後、主催団体の一つである世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会の戸松義晴理事長がモデレーターとなり、6人が発題するオープニングセッションが行われた。
発題者の一人であるコンスタンティノープル総主教庁(東方正教会)のカルケドン府主教エマニュエル・アダマキスは、現在の世界情勢について「暴力的紛争が20世紀半ば以降で最大規模となっています」と指摘。しかし、そうした状況の中でこそ、「積極的にこの後のことを考えなくてはなりません。和解を行うための場を構築する必要性を考えなければなりません」と訴えた。
パレスチナ難民としてイスラエルで生まれた背景を持つヨルダン聖地福音ルーテル教会のムニブ・ユナン名誉監督は、現在のパレスチナ自治区ガザ地区の状況を念頭に、「正義の戦争など必要ありません。必要なのはただ一つ、公正な平和です。正義と和解の上に成り立つ平和です」と強調。ガザ地区を巡っては、多くの宗教指導者が「明確かつ道徳的な立場を取ることができていない」とし、「平和を実現する者たちは、中立という盾の後ろに隠れているわけにはいきません」「宗教指導者は預言的な言葉を語るよう求められています」と力を込めた。
主催団体の一つである国連文明の同盟(UNAOC)のミゲル・アンヘル・モラティノス上級代表はビデオメッセージを寄せ、前回の会議から関心を持ってきたと述べ、「非常に貴重なプラットフォームになっている」と評価。今回の会議の成果に期待を示した。一方、世界では今、紛争が各地で起こっているほか、ヘイトスピーチや外国人嫌悪、宗教的不寛容が増加しており、「分裂の状況が危険水域にまで達している」と指摘。対話の重要性を強調した。
前回に続いて出席したWCRP国際活動支援議員懇談会の岡田克也共同代表(立憲民主党幹事長)は、憎悪や暴力の連鎖が世界的に拡大し、国際政治や国際機関がそれらを抑止できていない現実があると指摘。その上で、「憎しみや敵意の武装を解除するWCRPの活動が求められており、その活動に大いに期待しています」と述べた。また、超党派の懇談会として、「政府とは異なる柔軟な立場から、宗教者の皆さんが得られた成果を建設的な政策提言に生かしていきたい」と話した。
開会式の後、19日は「赦(ゆる)しと和解」をテーマにした2回のセッションが行われた。20日は、東京都内の宗教施設を視察した後、国会議員らとの会合を予定している。そして、最終日の21日には、参加者全員による対話型のディスカッションの後、閉会式で3日間の話し合いの結果をまとめた声明文を発表することになる。