次に訪問したのは、386年創立の聖ヤコブ修道院。敷地と建物が現代的な新しい石造りで、古代を思わせる壮大な光景であった。ここの解説者も私たち一行を快く歓迎し、丁寧に教えてくれた。400年前後の指導者の墓も保存されており、長い歴史を感じた。
古い時代の石に彫られたシリア語が幾つも見えた。
ここの階段にも、足下駄の石に花(菊?)の文様と十字が交互に収められていた。
シリア語の「主の祈り」が壁に刻まれていたのを写した。和訳したものは拙著『古代シリア語の世界』(139、140ページ)を参照して、筆者が作成した。
修道院に入る門の上には、シリア語で「聖なる家」と彫られていた。
この修道院もシンプルに造られ、ローマ・カトリック諸教会のようなマリヤ母子立像や画像などは一切見られず、シリア語の聖書と賛美歌が礼拝の内奥に置かれていたのが特徴的だった。大変良い、感動的な実りある研修の旅であった。
※ 参考文献
『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
『景教碑の風景』(シリーズ「ふるさと春日井学」3、三恵社、2022年)
【著者の最新刊】
『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
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