ゴミの街のために働く召命を受けたアブーナ・サマーンであったが、彼のミニストリーの教勢は力強く拡大していったのだ。彼の働きがもたらす変革のコアにあるものは、目に見える表面的なものではなく、個々の人々の変えられた内面であった。それを裏付ける面白いエピソードがある。(前回はこちら、第1回から読む)
ある時、当時無神論者であった米国人訪問者が、うっかり自分のロレックスの時計を落としてしまった。しかし、その時計は貧しいゴミ収集の子どもによって拾われ、持ち主のもとに無事返された。驚いた持ち主の米国人は、その時計の価値を教え、それを売って自分のものとしていたのなら、人生の全てを変えたであろうことを子どもに話した。しかし、その少年は顔色一つ変えず、そんなことをしたら、自分の主であり救い主であるイエス・キリストを悲しませることだと答えたのである。
アブーナ・サマーンは、聖書を教えることと社会奉仕に加えて、週に1度、悪霊払いと癒やしの礼拝を行っていた。その礼拝には、キリスト信者はもちろん、肉体的なものであれ霊的なものであれ、癒やしと解放を求めるイスラム教徒までもが何百人もやって来た。
英国聖書協会のポール・ウィリアムズCEOは、「彼はキリストを信じる全ての信者の持つ霊的権威に絶対的な自信を持っていました」とサマーンの信仰について述べた。(次回に続く)
■ エジプトの宗教人口
イスラム 86・7%
コプト教会 11・6%
プロテスタント 0・9%
カトリック 0・4%
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