神はアブーナ・サマーンに不思議な方法で呼びかけ、エジプトの「ゴミの街」のスラム街で人々に奉仕するよう召された。(前回はこちら、第1回から読む)
1990年代初頭までに、この「ゴミの街」は人口7万人にまで膨れ上がった。商店が開店し、リサイクル工場が設立され、共同体は舗装道路、水道、電気、下水処理を政府に要求するために団結して声を上げた。
現在、エジプトのリサイクルの中心地として知られるこの「ゴミの街」では、90%以上のゴミが再利用され、NGOがゴミから作った独創的なデザインの工芸品を販売している。
物理的な変化は劇的だったが、実は本当の変化は彼らの心の中から始まった。アルコールやドラッグに使われなくなったお金は、家族の生活を向上させるために使われるようになった。それまでは家畜と共に平屋の小屋に住んでいた人々が、家畜の飼育やゴミ収集によって得た収入で団地を建ててそこに住むようになったのだ。そして多くの人々は、活発に成長する教会を中心とする新しい生活を始めたのである。
アブーナ・サマーンは、「ゴミの街」の子どもたちが聖書について学び、それを家族に読んで聞かせることを望んだ。教育プログラムも開発され、最初の学校の教室では早期にフランネルグラフを用いた教え方が導入され、後にエジプトの環境・都市開発大臣を務めたライラ・イスカンダルの学術的な視点がこれを補足した。これらは、聖書を愛するエジプトのキリスト信者の世代を教育するのに役立っている。
「私はアブーナ・サマーンの聖書への愛に感銘を受けました」。そう発言したのは、米国ウィクリフの議長リンゼイ・オレスバーグ氏だ。またベツレヘム大学・神学校の学長ジョン・パイパー氏も同じことに気付いていた。パイパー氏は「彼が『私は日々御言葉によって養われ、御言葉に深く依存しています』と私たちに話してくれたのをよく覚えています。長いテーブルの先頭に座り、彼は聖書を開いていました。その朝、私たちは彼が用意したジュースを飲みながら、彼のリードする短いディボーションによって大いに恵まれたのです」と述べた。
アブーナ・サマーンは木曜日の夕方、地域社会のために定期的に礼拝を行っていたが、彼は一週間、個人的な関わりや多くの交わりを通して、聖書に対する真っすぐな価値観と情熱を伝えたのである。(次回に続く)
■ エジプトの宗教人口
イスラム 86・7%
コプト教会 11・6%
プロテスタント 0・9%
カトリック 0・4%
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