1. 幸福の青い鳥
貧しい家のチルチルとミチルの兄妹のところに、ある日、魔法使いのおばあさんがやって来て、不思議な帽子を渡され、病気の娘が欲しがっている青い鳥を探してきてほしいと頼まれた。
その帽子に導かれて2人は不思議な国々を旅して探し歩いたが、「幸福の青い鳥」はどこにもいなかった。
疲れ切った2人に、母の声が聞こえてきた。「起きなさい、今日はとても良いお天気よ」。起きた2人がふと見ると、家の鳥かごに「青い羽根の鳥」がいるではないか。
「ずいぶん遠くまで探しに行ったけど、青い鳥はぼくたちの家の中にいたんだね。この鳥をおばあさんにあげよう。きっと娘さんの病気も良くなるね」と2人は笑いあった。(メーテルリンクの童話『青い鳥』のあらすじ)
2. 青い鳥症候群
現実の自分や、取り巻く環境、待遇などを受け入れられず、「自分はもっと幸福になれるはずだ」と、理想の学校や職場、配偶者を求めて、転校や転職、離婚を繰り返す人のことを「青い鳥症候群」と呼んでいる。
厚生労働省の統計「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」によると、就職して3年以内に会社をやめる割合は大卒で31・5%、高卒で35・9%、宿泊業・飲食サービス業に至っては平均60・6%にまで達している。日本の終身雇用制度が崩れるにつれて、転職が盛んになり、「青い鳥症候群」が広がっているようだ。
しかし真実は、誰もが、「本当の幸せ」を求めて探し続けている「青い鳥症候群」なのではないだろうか。まさに私もその一人であったが、キリストを信じる信仰によって「本当の幸せ」を探し当てたような気がした。
3. クリスチャンの青い鳥症候群
ところが、キリストを信じて洗礼を受けても「本当の幸せ」をつかんだという確信がなかった。もっと聖書を学ばなければ、もっと祈らなければ、もっと伝道しなければ、もっと奉仕しなければと努力してきた。各種の集会に参加したり、あちこちの教会に出席したり、ユーチューブで海外のメッセージを視聴したりしてきた。
それでも「本当の幸せ」をつかむことはできず、「天国に行って初めて本当に幸せになるんだろう」と思っていた。
深刻な問題に悩んで信仰がぐらつき、救いを求めて聖書を読んでいたある時、突然、聖霊に満たされ、実在のイエスに出会った。信仰のイエスが事実のイエスへと転換した。以後、信仰が揺らぐことがなくなったが、まだ「本当の幸せ」の確信を持つには至らなかった。
ついに、自分は本当は「神の子」として新しく造られた者であること、「神の子」である本当の自分の内に聖霊がおられ、自分は「聖霊の宮」であることを、知性でも感情でもなく、霊で認識することができた。
私の内におられる聖霊は、私のために、真理を教え、イエスの恵み(キリストを知る知識の絶大な価値)をもたらし、神の愛を限りなく注いでくださっている。さらに、聖霊は私の内からあふれ出て人々の中に流れ込んでいく。
「幸福の青い鳥」は、実に、私の内におられる「聖霊」であったのだ。この内なる神との日々の交わりに勝る幸せはどこにもない。
「主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊との交わりが、あなたがたすべてとともにありますように」(2コリント13:13)
「わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち父から出る真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかしします」(ヨハネ15:26)
「聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれている」(ローマ5:5)
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