世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の被害者救済を巡り、日本司法支援センター(法テラス)による支援を拡充し、解散命令を請求された宗教法人の財産監視を強化する特例法が13日、参議院本会議で可決、成立した。
成立したのは、「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律」。
特例法は、法テラスの業務を拡充することで、旧統一協会など解散命令が請求された「対象宗教法人」の被害者に対し、収入・資産が基準以上であっても、民事訴訟や関連する手続きで必要となる弁護士費用などの立て替えを提供するよう定める。立て替えた費用の返済も、訴訟・手続き中は猶予し、必要かつ相当な範囲で免除するとしている。
また、対象宗教法人のうち、被害者が相当多数存在することが見込まれ、財産の処分・管理の状況を把握する必要がある場合、「指定宗教法人」に指定。不動産を処分したり担保にしたりする際、1カ月前までに所轄庁に通知することを義務付け、通知がない場合、処分・担保を無効とする。
さらに、指定宗教法人のうち、財産の隠匿・散逸により被害者の権利を害する恐れがある場合、「特別指定宗教法人」に指定。通常1年ごとの提出を求める財産目録などの財務書類を、3カ月ごとに提出させる。その上で、被害者は随時、財務書類の写しを閲覧できるようにする。
特例法は3年間の時限立法で、自民党、公明党、国民民主党が法案を共同で提出。立憲民主党と日本維新の会は、解散命令前の包括的な財産保全措置を可能にする独自案を共同で提出していたが、特例法の付則に、施行後3年をめどに行う検討事項として「財産保全の在り方」が追加されたことで、賛成に回った。この他、共産党なども賛成したが、テレビ朝日系のANNニュースによると、れいわ新選組とみんなでつくる党(旧NHK党)は反対した。
特例法は、公布から10日経過後に順次施行される。一方、指定宗教法人や特別指定宗教法人の指定には、文部科学相の諮問機関である宗教法人審議会の意見を踏まえる必要がある。そのため、共同通信によると、政府は今後、旧統一協会の指定可否について検討を急ぐという。
旧統一協会の被害者救済を巡る法律は、昨年12月に成立した「不当寄付勧誘防止法」に続いて2つ目(関連記事:旧統一協会の被害者救済巡る「不当寄付勧誘防止法」成立 配慮義務と禁止行為を制定)。
■ 参議院本会議で可決・成立した特例法の法案(参議院提出時)
■ 同法案の修正案(衆議院可決時)