米最大のプロテスタント教団である南部バプテスト連盟(SBC)が、6月に開催した年次総会で、女性が「いかなる種類の牧師」としても奉仕することを禁止する教憲修正案を承認したことを受け、SBCに加盟する4千以上の黒人教会で構成される全米アフリカ系米国人交友会(NAAF)が、「地域教会の自治に対する不必要な侵害」であり、教会に不釣り合いな影響を及ぼすと異議を唱えた。
少なくとも1人の女性牧師を擁するザ・ビュー教会(カリフォルニア州)を率いるNAAFのグレゴリー・パーキンス会長は3日、SBCのバート・バーバー議長に宛てた書簡(英語)をNAAFのホームページで公開。女性牧師を認めたことを理由に、サドルバック教会(同州)とファーンクリーク・バプテスト教会(ケンタッキー州)を除名にした最近の動きについて、SBCの指導者たちに祈るよう促した。
「私たちはSBCのファミリーに対し、祈りと対話の時を持つことを検討するよう強く求めます。なぜなら、多くの人々にとって、この最近の決定は地域教会の自治を不必要に侵害するものだからです。それはSBC内に分裂を生み出し、NAAFに加盟する教会に不釣り合いな影響を与える可能性があるからです」
女性が牧師として奉仕できないことを明確にするSBCの教憲修正案は6月の年次総会で、1万2千人を超える代議員らの投票により、約8割の賛成を得て承認された。SBCの教憲を修正するには、修正案が連続した2回の総会で承認される必要があるため、これが最終的な決定ではないが、来年の年次総会で過半数の支持を得れば、正式に決定することになる(関連記事:米南部バプ連、女性牧師禁止の教憲修正案を承認 次期総会で承認されれば正式に決定)。
修正案の採決は、サドルバック教会とファーンクリーク・バプテスト教会を、共に女性牧師を擁することを理由に除名とすることを決めた採決の数時間後に行われた。両教会の除名には、それぞれ代議員の約9割が賛成に回った(関連記事:米南部バプテスト連盟、総会でサドルバック教会の除名を決議 女性の牧師任命巡り)。
SBCの公式の信仰表明である「バプテスト・フェイス&メッセージ2000」(英語)には、「男性と女性は共に教会での奉仕のために賜物を与えられているが、牧師・長老・監督の職は、聖書によって資格を与えられた男性に限定される」と記されている。
パーキンズ氏は書簡の中で、教会が女性に「牧師」の称号を与えることを禁止することは、SBCに所属する多くの黒人教会にとって困難なことだと述べた。
「私たちの教会の多くは、『牧師』という称号を、男性主任牧師の権威の下で教会のミニストリーを監督する女性、すなわち、子ども担当牧師や礼拝担当牧師、弟子訓練担当牧師などに与えています。イエス・キリストへの信仰を共有し、聖書の権威を信じ、大宣教命令を遂行する使命があり、地域教会の統治決定に基づいて協力的に献金することに同意している、志を同じくする教会を仲間外れにすることは、協力の精神と私たちの教派の指針を汚すものです」
パーキンズ氏は、女性に「いかなる種類の牧師」としても奉仕することを禁じることがもたらす影響について、適切に考慮されておらず、SBCはこの問題について多様な声を聞く必要があると強調。代議員らによる投票結果は、「私たちが共有するバプテスト派としての方針と矛盾する」と主張している。
「聖書に根ざす献身的なクリスチャンが意見を異にする問題は常に存在します。多様な声や見解を聞くことができるようにすることが、私たちの最善の利益なのです。この方針転換がもたらす影響の全容をよりよく理解し、活発かつ建設的な対話に取り組もうではありませんか」
パーキンズ氏は、代議員らは自らが正しいと判断したことに投票する自由があるとする一方、今回の代議員らの投票行動が、「女性が主任牧師になるべきだとは信じていないとしても、女性に牧会者としての肩書の使用を認めたり、女性を牧会者の役割に任命したりしている教会は、SBCではもはや歓迎されない」というシグナルになりかねないと危惧を示した。
この書簡に対し、バーバー氏は3日、ツイッターにコメント(英語)を投稿。この問題について祈り、さらなる対話を持ちたいというパーキンズ氏の申し出を歓迎した。
「NAAFに加盟しているSBCの姉妹諸教会が、祈りと対話の時を私たちに求めてきました。同じ信仰を持つ者同士が共通の土台を見つけ、共に決断を下そうとするとき、キリストを敬い、聖書的な方法で決断に臨むということは、何と素晴らしいことでしょう」
「私は、福音の働きにおけるこれらのパートナーを尊重し、大切にします。私は、来年6月にインディアナポリスで開催されるSBCの年次総会までの1年間、SBCのファミリー全体が祈りと対話のための十分な機会を持てるようにします」
「実際、私は来週、ノースカロライナ州アッシュビルでNAAFの指導者たちの多くに会う予定であり、そこで私たちが祈りと実りある対話の両方において健全なスタートを切ることを信じています」
バーバー氏の返答は、パーキンズ氏からの「あなたのリーダーシップに感謝します」という応答も含め、好意的な反応を呼んだ。