米最大のプロテスタント教団である南部バプテスト連盟(SBC)は21日、サドルバック教会(カリフォルニア州レイクフォレスト)を含む5教会について、女性牧師を認めていることを理由に、友好関係を断絶することを決めた。
毎週の礼拝出席者が2万5千人を超えるサドルバック教会は、SBC内でも最大規模の教会。昨年9月に引退した創設者のリック・ウォレン牧師は、ベストセラー『人生を導く5つの目的』の著者として知られ、バラク・オバマ元大統領の就任時に祈祷をささげるなど、国内外で広く知られている。
SBCのニュースサイト「バプテストプレス」(英語)によると、SBCの執行委員会は同日開いた会合で、サドルバック教会などを「友好的協力関係にない」と見なす資格審査委員会の勧告案を承認した。
執行委員会のジャレド・ウェルマン議長は、メディア向けに発表した声明で以下のように述べた。
「本日の会合で、SBCの執行委員会は5つの教会を、女性が牧師職を続けていることを理由に、SBCと友好的協力関係にないと判断しました。『バプテスト・フェイス&メッセージ』(SBCの公式の信仰表明)の第6条で規定されているように、SBCは、牧師職は聖書によって資格を与えられた男性に限定されるという信念を持っています。これらの教会は長年にわたり大切な協力関係にあった教会であり、この決定は軽々しくなされたものではありません。しかし、私たちはSBCの神学的信念を守り、協力教会間の結束を維持することに引き続き尽力します」
サドルバック教会は2021年5月、女性3人に按手(あんしゅ)礼を授け牧師に任命したことを発表した。SBCは教義上、女性牧師を認めていないことから、SBC内の指導者たちからは批判の声が上がった。
同年6月に開かれたSBCの年次総会では、サドルバック教会と友好関係を断絶することを求める議案が提出され、資格審査委員会に付託された。
しかし、資格審査委員会は翌22年6月の年次総会で、サドルバック教会に対する勧告案の決定を延期すると発表。SBC内において、主任牧師に関しては男性に限定されるとする見解が多数であるものの、主任牧師とは異なる権限を持つ教職に牧師の肩書を使用することに関しては、一定の見解がないためと説明した。当時、ウォレン牧師はまだ引退前で、サドルバック教会の主任牧師の立場にあった。
その後、ウォレン牧師は同年9月に主任牧師から引退。エコーチャーチ(同州サンノゼ)を牧会していたアンディー・ウッド牧師と妻のステイシー牧師が後任として着任した。
バプテストプレスによると、ウッド牧師夫妻は同じ権限を持つ「共同牧師(co-pastors)」ではないものの、アンディー牧師は「主任牧師(lead pastor)」を務め、ステイシー牧師は「教導牧師(teaching pastor)」を務めている。資格審査委員会は、ステイシー牧師が教導牧師の立場にあることを問題視したという。
一方、アンディー牧師は昨年10月、バプテストプレス(英語)に対し次のように語っていた。
「牧会することと教えることは、男女を問わず教会で発揮されるべき機能であり、霊的賜物であると私たちは信じています。教えることと牧会することは、必ずしも同義ではありませんし、監督の職に限定されるものでもありません」
「SBCの多くの教会は同じ見解を共有していますが、たとえ見解が異なる場合でも、SBCの他の教会と交わりを保ち、一体となっていくことを約束します。サドルバック教会は、聖書の権威と無誤性を強く信じています。私たちは、このアプローチが聖書的であり、新約聖書の教えとも一致していると信じています」
女性牧師を理由に友好関係の断絶を宣言されたサドルバック教会を含む5教会は、6月13、14日にルイジアナ州ニューオーリンズで開催される今年の年次総会で、今回の決定に対し異議を申し出ることができる。