この課題で幾度も取り上げているレア・シャリブ姉妹が誘拐されてから、今日で5年が経過する。レア姉妹が誘拐された2018年2月19日当時、彼女は14歳だった。今年で彼女は20歳になる。
ナイジェリア・ガーディアン紙は1月29日の社説で、5月29日に退任を控えているムハンマド・バフリ大統領の怠慢を厳しく糾弾している。レアが誘拐された最初の年、ボコ・ハラムが身代金と引き換えに彼女を解放すると応じたにもかかわらず、大統領政府はこれを退け、身代金の支払いを拒んだのだ。
次の政権がレア解放のための交渉窓口を引き継ぐのか、あるいは積極的に解放に取り組むのかは不透明だ。テロリストらとの交渉が途絶えたとき、レアの身に危険が及ぶ可能性を否定できない。だからこそ同社説は、大統領が残りの任期4カ月の間に何としてもレア解放を達成するよう強く要求しているのだ。
ナイジェリア・ガーディアン紙は2018年の「マン・オブ・ザ・イヤー」をレア・シャリブに決定し、信仰を守るために暴力テロに屈しなかった「抵抗のシンボル」として描いた。その結果、政府に対するレアの解放要求は、若者を中心にSNS上で何百万人もの人々の間で共有され、国際社会の声とともに政府への強い圧力となった。しかし、レアの支援者らに言わせれば「にもかかわらず政府は全く本腰を入れていない」と言わざるを得ないのだ。
最新の情報によると、レアは強制的に結婚させられ、2児を出産させられたとされている。
レア姉妹は5年前、ナイジェリア北部ヨベ州にある科学技術学校から109人の女生徒と共に誘拐され、信仰の放棄を拒み、ただ一人解放されなかったキリスト者の少女だ。
誘拐された少女たちのうち5人は、移動中のトラックの中で死亡してしまった。当時からボコ・ハラムによる学生誘拐事件は国際世論の非難の的となっており、ナイジェリア政府や国際世論の強い圧力もあって、1カ月後の3月24日には104人の少女らが解放された。ところが、キリスト教徒のレアは自身の信仰を棄ててムスリムに改宗することを拒んだため、彼女一人だけが残されてしまったのだ。
解放された学友によると、全員が解放されたとき、レアも全ての少女と一緒に解放されるはずだったという。ところがボコ・ハラムは、レアがトラックに乗る直前、レアにイスラムへの改宗を求めていくつかの儀式的な改宗宣言をするよう彼女に要求した。しかしレアは「私はイスラム教徒ではないので、決してそれは言えません」と拒んだ。
彼らは怒って「お前がキリストを冒瀆(ぼうとく)しないなら、われわれと共に残ってもらおう!」と脅したが、なおも彼女はその要求を拒否したのだ。他の学友らも(おそらくは一時的なポーズだけでも)レアに改宗するよう説得したが、このわずか14歳の少女は決して主を否んで裏切ることはしなかった。ナイジェリアに住むレアは、ボコ・ハラムがどれほど恐ろしい組織であるのかを、もちろん身近に知っていた。
自分だけが解放されないことを悟ると、彼女は急いで母親への手紙を書き、それを解放される友人の手に託した。
「お母さん、どうか私のことで心配しないでください。お母さんは、私がいなくなってとてもつらい思いをしていると思うけれど、どこにいても私はきっと大丈夫だと伝えたくて、急いでこの手紙を書きました。私の神様は、このような試みの中でもずっとご自身を現してくださっています。お母さんが朝のデボーションで『神様は苦しんでいる人々により近く寄り添ってくださる』と教えてくれた言葉の通りです。私は今、それが真実だと証明することができます。いつの日にか、きっとお母さんに再会できると信じています。私は今お母さんのそばにいなくても、主なるイエス・キリストのうちにいます」
学友らは、走り出すトラックから、一人取り残されたレアが見えなくなるまで見つめ、いつまでも泣きながら手を振っていたという。
これまで幾度かレア殺害の情報が流れたが、レア解放運動を主導しているギデオン・パラマラム牧師が2年前オープン・ドアーズに語ったところによると、レアの確かな生存情報が確認された。米国ではレア・シャリブ財団が設立され、レアと家族のための祈りをささげ、物心両面で支えている。
近年、急激にキリスト教徒への惨殺や迫害が急増しているナイジェリアは、最新のワールド・ウォッチ・リストでは、6番目にひどい迫害国だ。
残り任期4カ月を切ったバフリ大統領に主が働き、彼の任期中にレアが解放されるよう祈ろう。迫害の絶えないナイジェリアに、レア姉妹の解放が大きな証しと励ましになるように祈っていただきたい。
■ ナイジェリアの宗教人口
イスラム 45・1%
プロテスタント 37・1%
カトリック 12・1%
土着の宗教 3・3%