東京基督教大学(千葉県印西市)のチャペルなどを設計した建築家の磯崎新(いそざき・あらた)氏が12月28日午前10時30分、老衰のため那覇市の自宅で死去した。1931年、大分市生まれ。91歳だった。
磯崎氏が設計した同大のチャペルは、キャンパスの中庭中央に位置し、約400人を収容可能。礼拝堂と音楽練習室の2棟から成り、礼拝堂はドーム型の屋根2つが接合した形をしており、エントランスホールの小ドームと合わせ、特徴的な外観を持つ。正面には鐘楼になっている塔が立ち、キャンパスのシンボル的な存在になっている。
同大は6日、磯崎氏が「神と言葉とその場所」と題して1989年の献堂式で語ったスピーチの一部をホームページに掲載。磯崎氏はその中で、福音派の人々に何度も質問を重ねてたどり着いた自身の結論から、聖書を源泉とした「言葉」が満ち、飛び交う場として、チャペルを設計したことなどを語っている。
磯崎氏は、カテドラル(大聖堂)をイメージして設計したという北九州市立美術館や、日本のポストモダン建築の代表作とされるつくばセンタービルなどで知られ、ロサンゼルス現代美術館や上海交響楽団コンサートホールなど、海外作品も多い。2019年には、「建築界のノーベル賞」と呼ばれるプリツカー賞を受賞している。