前ローマ教皇である名誉教皇ベネディクト16世が31日、95歳で死去したことを受け、日本カトリック司教協議会会長の菊地功・東京大司教は同日、日本のカトリック教会に向けたコメントを発表した。
菊地大司教は、教皇就任前は神学者として活躍し、20年以上にわたって教皇庁教理省長官を務めたベネディクト16世の略歴を紹介。「長きにわたって現代社会を旅する教会の神学的支柱として大きな影響を与え、さらに病気の苦しみと闘った高齢の教皇聖ヨハネ・パウロ2世をすぐそばで支えました」と伝えた。
その一方で、人柄については、「教理省長官として時にその厳しさが強調されたため、頑固で厳しい教皇という印象が強く残っていますが、実際にお会いすると、優しさに満ちあふれた牧者でありました」と言い、最初に発表した回勅が「デウス・カリタス・エスト(神は愛)」であったことなどに言及した。
「ベネディクト16世は、教会における愛(カリタス)の業を重要視され、それが単に人間の優しさに基づくのではなく、信仰者にとって不可欠な行動であり、教会を形作る重要な要素の一つであることを明確にされました」
また、2011年の東日本大震災発生時には、いち早く被災者に心を寄せ、被災地にロベール・サラ枢機卿を特使として派遣したほか、日本の司教団に慰めと励ましの言葉を送っていたことなどを紹介。「優しさに満ちあふれた『愛(カリタス)』の教皇でありました」と振り返った。