先代のローマ教皇である名誉教皇ベネディクト16世が29日、司祭に叙階されてから満70周年を迎えた。
バチカン・ニュース(日本語版)によると、ローマ教皇フランシスコはこの日の正午の祈りで、ベネディクト16世の叙階70周年に言及。現在はバチカン(教皇庁)の修道院で観想者として祈りの生活を送っているとし、「父であり兄弟であるベネディクト、ありがとう。あなたの信頼できる証しに感謝します。神に向かい続けるあなたのまなざしに感謝します」と伝えた。
ベネディクト16世は1927年、ヨゼフ・ラッツィンガーとして、ドイツ南部バイエルン州で、農家出身の警官の父の下に生まれた。第2次世界大戦中は、対空防衛補助活動に動員され、最後の数カ月間従事した。戦後、兄ゲオルクと共に同州トラウンシュタインの神学校に入り、51年6月29日に司祭に叙階された。
ミュンヘン大学とフライジング大学で哲学と神学を学び、大学教授資格を得た後は、ボン大学やミュンスター大学、テュービンゲン大学などで教鞭を執った。77年3月、当時の教皇パウロ6世によりミュンヘン・フライジング大司教に任命され、同年5月に司教叙階。さらに同年6月には枢機卿に任命された。
81年から2005年の教皇就任まで教皇庁の教理省長官を務め、神学的には保守派の代表格として知られた。教皇就任時にはすでに78歳と高齢で、85歳だった13年2月、高齢を理由に突然辞意を表明。教皇職は通常終身だが、719年ぶりに生前退位し名誉教皇となった。現在94歳。