カナダを6日間にわたって訪問したローマ教皇フランシスコは7月30日、帰国の特別機内で同行記者団に対し、海外訪問のペースを落とす必要性を語るとともに、場合によっては退位を検討すべきだが、それは神の意志と見極めた場合に限ると述べた。
AFP通信(英語)によると、教皇は特別機内で、「これまで訪問してきたのと同じペースで(海外に)行けるとは思っていません」とコメント。「この年齢とそれに伴う制約の中にあって教会に奉仕できるよう、私は少し自分をセーブしなければならないと思っています。もしもそうでなければ、身を引く可能性について考えなければならないと思います」と語った。
カトリック系のCNA通信(英語)によると、現在85歳の教皇は、退位の時期については「主がお決めになります」とし、「(退位への)扉は開かれています。それ(退位)は普通の選択肢の一つですが、今日まで私はその扉をたたいていません」と語った。
教皇は、積極的に退位を考えているわけではなく、あくまでも退位に対してオープンな姿勢であることにすぎないことを明確にした上で、「しかしだからといって、明後日から(退位を)考え始めないというわけでもないでしょう」とも語った。その上で、イエズス会士である教皇は、退位に関しては、イエズス会で大切にされている「識別」(内省や祈りなどを通して神の導きを探し求めること)に頼ることになると述べた。
CNA通信によると、教皇は記者団から、健康上の制約により退任する可能性について何度も尋ねられたという。教皇は最近、右膝の痛みに悩まされており、5月以降は車椅子で移動することが多くなっている。
「膝の手術は私の場合、予定されていません。専門家は手術すべきだと言いますが、麻酔の問題があります。10カ月前、(結腸憩室炎の手術で)6時間以上麻酔をかけられましたが、いまだに後遺症が残っています」
教皇は、人々に寄り添うために今後も海外訪問の努力をするとし、「なぜなら、それが奉仕の方法だと思っているからです」と語った。また、ウクライナ訪問にもあらためて意欲を示した。教皇は今後、9月には「第7回世界伝統宗教指導者会議」に出席するため、カザフスタンを訪問する予定。