「愛する日本を取り戻そう!」「グローバリズムから脱却しよう!」このような主張を繰り返す「参政党」が、先日行われた参院選の比例代表で176万票もの得票をもって1議席を獲得し、政党要件を満たしました。
この参政党は2020年に結党されたばかりの新しい政党ですが、今回の選挙戦ではネットを中心に急速な広がりを見せ、全国の街頭演説では、どこも大勢の人だかりになりました。少なかった党員数は10万人に迫り、参政党現象といった言葉まで生まれました。
今回の結果は、数百年にわたり世界中に拡大してきたグローバリズムに対し、日本で初めて反対を表明する政党が誕生し、一定の支持を得たことを示しています。利権の絡む政治の世界で、果たしてどこまで拡大できるか、今後の動向が楽しみなところです。
この世に流されていると気付けない
グローバル化の進んだ現代社会では、資本主義のもとで規制緩和や自由競争が推し進められ、人・物・金が国や地域を越え、自由に行き来するようになりました。時代の変化は急速に進んでいます。
日本においても生活は便利になり、すべてにおいて効率の良い社会になりました。メディア、PC、スマホ、コンビニ、通販などを通し、あらゆる情報や物が流通しています。このような便利な環境だけに浸っていると、グローバル化の弊害に気付けない人も大勢います。
グローバル化の弊害
しかし、日本の近代史を振り返ると、かつての日本の中に存在し、大切に受け継がれてきたものが、グローバル化の進展に伴い、いつの間にか消えてしまっていることに気付きます。
例えば、日本の家制度や地方の共同体の中で受け継がれてきた伝統や文化が、数多く失われました。また、地域社会や中小企業などで固有に開発され発展してきた希少技術や産業が、次第に廃れてしまっていることに気付きます。
企業においては、海外における現地生産が盛んになったため、国内の生産拠点が少なくなり、産業の空洞化が進んでいます。国を潤していたはずのお金は海外に流れ、賃金は低く抑えられ、日本の経済体質自体が弱くなっているように思います。
事実(データ)を見て、よく考えることが大切
このようなグローバル化の流れはあらゆる生活圏に及んでいますので、その流れに逆らって生きることは難しいのが現実です。共同体の中で生きる日本人にとっては、共同体そのものがグローバル化に翻弄されているわけですから、一層難しくなります。
どうすれば、大切な自分や家族、地域の共同体や国家を守れるのかを、それぞれが真剣に考えなければならない時期に来ているように思います。
メディアから流れる膨大な情報に惑わされることなく、一人一人が事実(データ)を見て、よく考える習慣を身に着けたいものです。
グローバル化の中にある宣教活動
実は、福音宣教においてもグローバル化のもたらした被害は甚大です。かつて、多くの宣教師たちは確かに福音を携えて世界に出ていきましたが、福音と同時に、利権につながる経済活動や生活習慣を持ち運びました。
結果として、固有の伝統の中で歴史を積み上げてきた多くの国々では、大切な文化や習慣を失いました。グローバル化に抵抗した国々は歴史の中から消されていきました。
日本では鎖国制度を取ったため、ある程度は守られましたが、明治以降に入国した宣教師たちによる福音宣教も、過去への反省がされないまま、欧米の教会をそのまま移植する形で進められました。
日本宣教が滞る大きな要因
日本人は、家族親族、地域、職場などの絆を大切にしてきました。それらは、欧米の個人主義に基づく絆とは異なり、伝統や文化を共有するタテ社会ですから、福音宣教は本来、これらの共同体の絆を強める形で進められなければならなかったと思います。
宣教が日本で拡大しない理由は、私たちの信じている福音が日本の伝統や文化の衣を着ることなく、いつまでも異国の文化を受け継ごうとしていることにあるような気がします。
グローバリズムに立ち向かうために
人間の欲によって拡大するグローバリズムは、すでに私たちの社会全体を覆っています。私たちは、グローバル化の流れから距離を置き、心を静めることから始めたいものです。
立ち返って落ち着いていれば、あなたがたは救われ、静かにして信頼すれば、あなたがたは力を得る。(イザヤ書30章15節)
私たちは神様によって創造され、こよなく愛され、恵みによって生かされていることを、心に深くとどめたいと思います。
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