エジプトは中東で最も人口が急増している国であり、古くから東方教会のコプト教会が根を下ろしているため、アラブ世界で最も多くのキリスト教徒を有する国だ。アレクサンドリアのコプト教会の司祭ワディード氏が過激派によって刺殺された事件が4月に発生し、同国キリスト教会に衝撃を与えたが、エジプトの教会は迫害に負けず、かつてないほどの好機を迎えている。
信仰心のあついムスリムで、軍人出身のシーシー大統領は、失政の続いていたムルシー前大統領を2013年クーデターにより失脚させ、14年5月の大統領選挙には自らが出馬し大統領として選出された。彼はエジプトの大統領としてはかつてないほどキリスト教会に融和的な政策を取り、エジプト大統領として初めてコプト教会のクリスマス礼拝に参加するほどだった。
同国の福音派のある指導者は「教会はかつてないほど良くなっています。私たちは良い時代に生かされています。これはわれわれ教会が常に祈ってきたことです。本当に神に感謝です。政府も大統領もわれわれに心を開きつつあるのです。地域によっては、神を礼拝することが困難でしたが、今では教会はより合法的になり、私たちは以前よりずっと自由に神を礼拝することができるようになりました。迫害は残っていますが、前政権下のようにひどくはありません」と述べた。
過去9年間、シーシー政権はムスリム同胞団が放火した数十の教会を再建し、新しい教会建設を妨げる法的問題など、何世紀も前からエジプトに根強くある問題の解決に取り組んでいる。彼らエジプトの兄姉らは、このような前向きな変化が、イスラム教徒の一般民衆にも広がることを祈っている。政府が発行するIDカードには個人の宗教欄があり、「イスラム教」と記載されている者が「キリスト教」に変更することは許されていない。しかし今「IDから宗教欄を削除する」という議論もあるようだ。これらの成果は、信仰のために命をささげた殉教の血と、エジプトの兄姉らの長年の祈りの勝利なのだ。
エジプトがアラブ世界のモデルとなり、教会の前進を妨げてきた法的政治的な障壁がさらに取り除かれ、民衆レベルにもその流れが波及するように祈ろう。エジプトの教会が、迫害に負けず御霊に奮い立ち、中東世界に「霊的アラブの春」がもたらされるよう祈っていただきたい。
■ エジプトの宗教人口
イスラム 86・7%
コプト教会 11・6%
プロテスタント 0・9%
カトリック 0・4%