カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、ランベス会議へのボイコットを表明しているナイジェリア、ルワンダ、ウガンダの首座主教3人に対し、ボイコットの再考を要請した。
ランベス会議は、全世界の聖公会の主教らが集い、祈りと聖書の学び、交流のひとときを持ち、教会内外のさまざまな課題について話し合う場。アングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)の霊的最高指導者であるカンタベリー大主教が召集するもので、1867年に第1回が開催されて以来、ほぼ10年に1度の頻度で開かれている。
今回開催されるのは第15回で、7月27日から8月8日まで、英南東部ケント州カンタベリーで開かれる。しかし、保守的な立場に立つ「世界聖公会未来会議」(GAFCON)に属するアフリカの首座主教3人は、各国内の主教らと共に参加しない意向を示している。
ナイジェリア首座主教のヘンリー・ヌドゥクバ大主教、ルワンダ首座主教のローラン・ムバンダ大主教、ウガンダ首座主教のスティーブン・カジンバ大主教は5月、共同声明(英語)を出し、「(3カ国の主教らが)2008年の(第14回)ランベス会議に欠席しなければならなかった問題について、アングリカン・コミュニオンは悔い改めと自責の念をもって対処することを怠りました」とし、今回のランベス会議に出席しない意向を表明した。
3人は、3月にロンドンで開催された首座主教会議のコミュニケ(声明)について、ランベス会議で扱うべき議題について触れておらず、「まるで、1998年の(第13回)ランベス会議の決議第1条10項に反して、同性愛を正常な生き方として認めたことによって生じた問題をカーペットの下に押し込めるかのように、人間の性に関する主題が次のランベス会議の議題ではないことを示唆しています」と主張。「その代わり、2022年のランベス会議は、環境や不利な立場にあるコミュニティーが経験する困難に関する周辺的な事柄に焦点を当てています。環境に対する焦点は、真の救いのメッセージの中にあって聖書神学に根ざすべきであり、いかなる社会的動機によっても、それを放棄してはなりません」と述べている。
これに対し、ウェルビー大主教と、アングリカン・コミュニオンの総主事であるジョサイア・イドウ・ファーロン大主教(ナイジェリア)は共同書簡(英語)を送り、ランベス会議への招待は有効なままであるとし、ボイコットの再考を要請した。
2人は共同書簡で、首座主教らが「環境、貧困、経済的不利益の問題を『周辺的』なものとみなしています」と述べ、悲しみを表明。「これらはアングリカン・コミュニオンの大部分にとって、生死に関わる問題です。これらは、神の創造物を略奪し、荒廃させた人間の罪の結果であり、気候変動の直接的な結果として、世界は壊滅的な戦争と最大10億人の移住を見ることになると予想されます。神の創造物や貧しい人々、貧困にあえぐ人々を配慮しないことは、聖書の教えやイエス・キリストの言葉に真っ向から反することです」と述べている。
また、ランベス会議に出席しなければ、「声を上げることも聞く機会もありません」と指摘。「ナイジェリア、ルワンダ、ウガンダ各管区の主教たちに対する招待はまだ有効のままです」とし、次のように述べている。
「神は対立ではなく、一つになるよう求めておられ(ヨハネ17:21)、そうすることで、世界はキリストが御父から来たことを知るでしょう。それがまさに、世界中の教会の目的なのです。ボイコットではキリストは語れません。避ける人は聞くことができず、影響力を失い、未来を形成する機会を失うでしょう。あなたがたがいないことで、私たち全員が霊的に貧しくなってしまうのです」