長老派のスコットランド国教会とスコットランドのカトリック教会がこのほど、歴史的な「友好宣言」(英語)を発表した。カトリック教会側はすでに宣言を承認しており、スコットランド国教会も今月23日に首都エディンバラで開催する総会で正式に承認する見通し。
両教会はこの宣言を、「キリストへの共通の信仰に基づき、互いの友好を宣言する決定的かつ取り消し不可能な声明」だと強調。100年以上にわたる両教会のエキュメニカルな関係構築の成果であるとし、スコットランドのキリスト者としての共通の信仰と遺産を物語るものだとしている。
宣言は、「私たちは、信仰の先達であり、私たちの土地でキリスト教の信仰を生き、説いた最も古き宣教師たちを、神への感謝の念をもって思い起こします」とし、聖ニニアンや聖コルンバ、聖マーガレットら、スコットランドの聖人らに言及。こうした先人たちが、「キリスト教の価値観に触発された社会を育み、教会を指導し形成した」とした。
一方、宣言は「私たちは、互いに悔い改め、赦(ゆる)しを請います」とし、癒やしや和解の継続的な必要性を認めている。
「私たちはお互いをキリストにある兄弟姉妹と認め、同じキリスト者として、市民として、そして私たちの土地に神の国を告げ知らせるパートナーとして、互いへの友情と尊敬を表明することを望んでいます。世界宣教会議(1910年、エディンバラ)と第2バチカン公会議(1962~1965年)以来、壊れたものを修復し、相互尊重と友情を回復するために、エキュメニカルに多くのことが行われてきました。小教区間の共同祈祷、さまざまな共同委員会、そしてキリスト教の友人、巡礼の仲間として、互いの知識と理解を深めることによって、多くのことが精神的、実際的、効果的に達成されました」
宣言は、両教会に違いがあっても協力し、「この地において、これまで以上に一致したキリスト者の声」となることを誓う言葉で結ばれている。
「したがって私たちは、公私にわたり、生活と宣教において、キリストの兄弟姉妹として生きることを誓い、互いに、また互いのために祈り、互いに、また私たちが暮らすすべての人々の間で、あらゆる信仰を持つ人、持たない人に対して善き隣人となり、私たちに与えられているこの国の共通善を見いだせるよう、共に働くことを誓います」
カトリック教会のレオ・クシュリー大司教(セントアンドリュース・エディンバラ大司教区)は、両教会がこの数十年にわたり「友好の道」を歩んできたと指摘。宣言が「スコットランドのすべての仲間のキリスト者とのより深い絆につながる」ことに期待を示した。
「私たちは40年かけて、互いを尊重し、理解し、共通するもの、まだ私たちを分かっているものについて熱心に取り組んできました。その一方で、共に祈り、社会的な活動を行う中で、私たちは友人にもなり、キリストにある仲間の兄弟姉妹として、互いに感謝するようになりました。これは認め、祝うべきことだと思います。私と、私の兄弟である司教たちはこの宣言を歓迎しており、私たちは同様に全国のカトリックの兄弟姉妹がこの宣言を歓迎することを望んでいます。より深い対話はこれまで通り続いていくでしょうが、私たちが共通に持っているすべてのものを認め、私たち二つの教会の人々の友情を祝うために、多くのことが語られるべきです」
スコットランド国教会議長のジム・ウォレス卿は、次のように述べた。
「議長としての任期中、私はクシュリー大司教やノーラン司教(現大司教)、またスコットランドのカトリック教会の他の人々との友好的で生産的な協力関係を非常に評価してきました。私たちは、新型コロナウイルスの制限を乗り越え、生活費の増加や気候危機など、私たちの国、そして世界が直面する重要な問題に対処しようとしてきました。私たちそれぞれの教会は、『難民のためのスコットランド信仰アクション』でも協力しました。そして、ここ数カ月で私が経験した最も深い瞬間の一つは、エディンバラのウクライナ人カトリックコミュニティーの人々の故郷がいわれのない攻撃を受けているときに、礼拝に参加し、彼らやバシル神父と連帯したことでした。これらはすべて、私たちを結び付けるものが、同胞の生活や、このスコットランドの地で福音のメッセージの証人となるために非常に重要であることを示す方法なのです」