欧州の教会指導者らが、2月末からウクライナで続く戦争について、イースター(復活祭)の時期に一時的に休戦するよう呼び掛けている。
欧州連合司教協議会連盟(COMECE)会長のジャンクロード・オロリッシュ枢機卿と、欧州教会協議会(CEC)会長のクリスチャン・クリーガー牧師は13日、戦争の当事国であるロシア、ウクライナ両国の大統領に対し、キリスト教最大の祭典であるイースターに合わせ、休戦を求める共同書簡(英語、11日付)を送ったと発表した。休戦を求めているのは、西方教会がイースターを祝う17日から、東方教会がイースターを祝う24日までの8日間。
2人はこの休戦により、両国のキリスト教徒たちが「平和と尊厳の中でイースターを祝う」ことができ、「不安から解放され、休息することができる」とし、次のように述べている。
「今から数日後に、世界中のキリスト教徒がイエス・キリストの受難と死を思い起こし、その復活を祝います。この復活の祝祭はキリスト教信仰の中心に位置しており、教会暦の最高点にあります。それは信仰者の生活の中心なのです」
「私たちは、ロシアとウクライナのキリスト教徒、キリストにある兄弟姉妹が、平和と尊厳の中でイースターを祝う機会を持てるよう、2国間の全面的な休戦をお願いしたいのです。このような休戦は、両国のすべての市民にとって有益です。彼らは戦争で戦っている、あるいは戦争の影響を受けている大切な人の命の心配から解放され、休息を得ることができることでしょう」
この呼び掛けは、ローマ教皇フランシスコが10日、パームサンデー(棕櫚〔しゅろ〕の主日)のミサで、「武器を下ろしましょう。イースター休戦を始めましょう」と呼び掛けたことに呼応するもの。教皇は、「イースター休戦は、再武装して戦闘を再開するためのものではありません。それは、人々のため、多少の犠牲を払ってでも真の交渉を行い、平和へと至るためのものです」と訴えていた。
ロイター通信によると、ロシアが2月24日にウクライナに侵攻して以来、ウクライナでは少なくとも4万人が死亡し、1100万人が難民・国内避難民となっている。
オロリッシュ枢機卿とクリーガー牧師はまた、ロシア正教会のモスクワ総主教キリルに対しても、共同書簡(英語、11日付)を送付。イースター休戦の提案に対する「公の支持」を求めた。
キリスト教の祭典に関連した休戦としては、第1次世界大戦中の1914年12月24~25日に生じた「クリスマス休戦」が有名。戦争勃発から約5カ月がたち、長期化が予想される中、西部戦線の最前線で対峙していた英国、ドイツ両国の兵士らの間で、非公式ながらも一時的な休戦状態が生じたことが伝えられている。