ニュージーランド議会は昨年12月9日、出生証明書に記載された生まれつきの性を容易な手続きで変更できる法案を可決した。この法案では、個人の治療情報の開示や裁判所の許可を得る必要なく、単純な行政手続きのみで性別を変更できる。同国ティネッティ内相は「(LGBTを推進する)レインボー社会の権利と幸福を認めるものだ」と歓迎する声明を出した。
また昨今、大きな政治的問題として浮上しているのが「転向療法の禁止法」の成立を目指す世界的な動きがあることだ。これには保守的教会の多くが懸念の声を上げている。つまり、同性愛者らを、異性愛者に立ち返らせるために(おそらくこの発言自体も問題視されるのだろう)、両親や友人、教会や信者が、祈りやカウンセリングをすること自体がこの禁止事項に該当し、何らかの罰則(ニュージーランドの場合、最高5年の懲役刑)を受ける可能性があるのだ。現与党の労働党政権は、この法案の成立を目指している。
一方、最大野党のニュージーランド国民党は11月30日の党首選において、クリストファー・ラクソン氏を選出した。同氏は、政治家としてのキャリアはわずか1年にすぎないが、ニュージーランド航空のCEOとして8年務め、同社に記録的な収益をもたらしたことで知られる。また彼は、ニュージーランドでは珍しく、福音派の信者であることを公言する政治家で、中絶や転向療法の禁止法案、安楽死などに反対する立場を表明している。ラクソン氏が党首として選出されると、彼の信仰に注目が集まり、彼は「私の信仰は個人のことで、政治とは別です」と、返答と説明に苦慮したようだ。
かつて宣教師を世界中に排出したキリスト教国において、特に著しく創造の秩序に基づく男性観、女性観が崩壊していく時代となってしまった。聖書的伝統の価値観の防波堤として、キリスト者の政治家の責務は大きくなる一方だ。
ニュージーランドの最新の国勢調査では、無宗教者が48・5パーセントと今では最大セクトとなっている。ラクソン氏ら信者である政治家たちのために、何よりもニュージーランドのリバイバルのために祈っていただきたい。
■ ニュージーランドの宗教人口
プロテスタント 20・6%
カトリック 12・4%
英国教会 12・2%
イスラム 1・2%
儒教 0・1%
仏教 1・5%
無神論者 48・5%