中米ハイチで10月、米国人とカナダ人の宣教師ら計17人が地元のギャングに誘拐された事件で、宣教師らが所属する米国のキリスト教慈善団体は6日、新たに3人が解放されたと発表した。これで解放された人質は5人となった。同団体は、残り12人の解放などのために3日間の断食祈祷をするとし、世界のクリスチャンに参加を呼び掛けている。
宣教師らが所属する「クリスチャン・エイド・ミニストリーズ」(CAM)の発表(英語)によると、3人は5日夜に解放された。11月21日に発表された2人の解放と同様、3人の名前や解放の経緯など、詳細は公表できないとしている。一方、3人の状態は良好で、CAMは「解放された人たちは無事で、元気に過ごしているようです」と伝えている。
CAMは3日、人質全員の解放のために6日から8日までの3日間、断食祈祷をするとし、世界のクリスチャンに参加を呼び掛けていた。3人の解放後も、「解放された人はもちろん、まだ拘束されている人のためにも、引き続き執り成しの祈りをお願いします。すべての人質が愛する人たちと再会できることを願っています。あなたの祈りの支援を感謝します」と述べている。
事件は10月16日、首都ポルトープランス近郊で発生。宣教師ら17人が孤児院訪問後、車で移動しているところを誘拐された。誘拐されたのは、米国人16人、カナダ人1人の男女計17人で、このうち5人は1歳未満の乳児を含む未成年者。事件を起こした地元のギャング「400マオゾ」は、身代金として計1700万ドル(約19億円)を要求している。
一方、先に解放された2人について、米マイアミ・ヘラルド紙(英語)は関係者の話として、成人であり、病気のために解放されたと伝えている。また、2人の解放については身代金の支払いはなかったとしている。
米国は事件発生直後に連邦捜査局(FBI)の捜査官3人をハイチに派遣。米国はそれ以降、「かなりの数の法執行機関の専門家と人質救出の専門家を派遣し、各省庁、家族、ハイチ政府と緊密に協力して、救出のための調整と組織化を図っている」と、ジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は説明している。