カリブ海の島国ハイチで今月初めに誘拐された米国人のジャン・ピエール・フェレール・ミシェル牧師(79)が解放された。ミシェル牧師の娘が26日、フェイスブックに投稿した動画で明らかにした。ミシェル牧師は信徒2人と共に誘拐され、3人の解放のために計55万ドル(約6240万円)の身代金が支払われたという。
現地メディア「ハイチ・リブレ」(英語)によると、ミシェル牧師は首都ポルトープランス近郊のデルマにあるジーザス・センター教会の設立メンバーで、3日午前8時ごろ、警察を装った重武装の数人によって教会の前で誘拐された。この時、信徒のイザベル・デベンデギスさんとノーマン・ワイナーさんの2人も誘拐された。
身代金を支払った後、デベンデギスさんは解放されたが、ミシェル牧師とワイナーさんは拘束され続けていた。米マイアミ・ヘラルド紙(英語)が26日に報じたところによると、ミシェル牧師と信徒2人の家族は当初、3人の解放のために30万ドル(約3400万円)を支払った。また、ハイチのコミュニケーション・コンサルタントであるデレックス・エティエンヌ氏がツイッターに投稿したところによると、その後、拘束され続けていたミシェル牧師とウェイナーさんの解放のために、25日に追加で25万ドル(約2840万円)が支払われたという。
クリスチャンポストは27日、ミシェル牧師の家族に連絡を試みたが、応答はなかった。しかし、ミシェル牧師の娘は、今月中旬に米国人宣教師ら17人が誘拐されメディアの注目を集めた後、父親の事件についても関心を高めてくれたフェイスブックの支援者に感謝を示した。
ミシェル牧師の家族の友人は当時、マイアミ・ヘラルド紙に「この事件は17人が誘拐された事件のように話題になっていませんが、この男性も米国民です」と話し、「関心の度合いがクロワデブーケで誘拐された17人に対するものとは違うのです」と訴えていた。
ミシェル牧師は解放されたものの、宣教師ら17人は現在も拘束されている。彼らを誘拐した現地のギャング「400マオゾ」は、身代金として1700万ドル(約19億4千万円)の支払いを求めているとされる。
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は同紙に対し、米オハイオ州に拠点を置くキリスト教宣教団体「クリスチャン・エイド・ミニストリーズ」の宣教師ら17人の誘拐事件について、ジョー・バイデン米大統領が毎日説明を受けていると語った。17人のうち16人は米国人、1人はカナダ人で、その中には生後8カ月の乳児を含む子ども5人もおり、バイデン氏は特に心配していると伝えられている。