毎年11月の第1週と第2週の日曜日は、世界福音連盟(WEA)の呼び掛けにより、迫害下にある教会を特に覚えて祈る国際祈祷日となっている(International Day of Prayer、IDOP)。現在、世界で3億人以上のキリスト信者が、信仰を理由に何らかの迫害や危険にある。
昨今特に目立つ迫害の実態をほんの一握り挙げると、北朝鮮の迫害は最も厳しく、キリスト者は常に投獄と命の危険にさらされている。中国では牧師が投獄され、教会が破壊され、子どもたちへの信仰は制限され、家や教会にある主イエスの絵が中国の指導者の写真に置き換えられている。香港では、中国共産党によって民主主義と自由が壊滅的な脅威に直面し、信仰の自由も奪われている。イランでもキリスト教の活動は取り締まりの対象となっており、宗教警察による摘発と逮捕、投獄が後を絶たない。インドでは、キリスト教徒がヒンズーナショナリストによって激しく迫害されている。ナイジェリアでは、イスラム過激派によってキリスト者の誘拐と殺害が後を絶たない。エジプトでは、若いキリスト者の女性がイスラム教徒に誘拐され、強制改宗およびムスリムとの結婚を強要され、家族と信仰から切り離されている。パキスタンでは「冒とく」の虚偽告発により、冤罪のキリスト者が投獄され、死刑判決を受けている。またパンデミック下では、バングラディシュ、パキスタンなどの異教が強く貧困な国々で、キリスト信仰を理由に生活物資の配給から締め出されている。
今年のIDOPのテーマは「迫害されている者は幸いです」(マタイ5:10)だ。豊かさと平和の中にある教会は、実はその豊かさによって欺かれる危機にさらされているが、迫害されている教会は、主イエスこそは彼らにとってこの世のどんなものよりも価値があることをよく知っている。われわれは、彼らの勇気ある信仰の故に神をたたえ、神の愛と彼らの間には何ものをも入り込めないという真実を喜ぶべきだ。教会教父のテルトゥリアヌスが「殉教者の血は教会の種子である」と言ったように、実は迫害と殉教こそは、キリスト教信仰の歴史であり、その道がたどってきた教会の礎なのだ。
すべての残虐行為、人権や信教の自由の侵害、自国民や愛する家族からの拒絶や迫害の中で、神はご自身の民をしっかりと握っておられる。神はこの約束を、決して裏切ることはない。特にこの日は、迫害下にある世界中の教会と兄弟姉妹らを覚え、彼らのためにとりなしの祈りをささげていただきたい。