1966年7月、テレビが一般家庭に急速に普及し、子ども向けの番組が増え始めた頃、ウルトラマン(円谷プロダクション作品)の放送が開始されました。当時、9歳の少年だった私は、光の国から来たウルトラマンが邪悪な怪獣と戦う特撮映像に心を奪われていました。
その時代から55年の歳月が流れ、今年はウルトラマン誕生55周年を記念してさまざまな企画が行われました。神戸においても、兵庫県立美術館にて記念の展示会が開かれ、ウルトラマンが大好きになった4歳の孫と一緒に出掛けました。
美術館の展示会場に入った途端、かつて親しんだウルトラマンの主題歌が聞こえてきました。私は、懐かしさと不思議な高揚感に包まれる中、過去55年の間に公開されたウルトラマンの歴史展示などを見学し、60年以上も年齢差のあるかわいい孫と、楽しい時間を過ごしました。
ウルトラマンはイエス・キリストそっくりだった!
(初代ウルトラマン主題歌より)
♬ 光の国から ぼくらのため(2番:正義のため、3番:地球のため)に 来たぞ われらの ウルトラマン♬
ウルトラマンの故郷はM78星雲の光の国とされています。そして、この国から来たウルトラマンの使命は、主題歌の通り、地球に住む私たちのために、邪悪な怪獣と正義の戦いをすることでした。
ウルトラマンを生み出した円谷プロダクションの初代社長(円谷英二)がクリスチャンだったことはどこかで聞いたように思いますが、ウルトラマンの存在自体がこれほどイエス・キリストに似ているとは、考えたこともありませんでした。
少年時代にウルトラマンから受け取った単純なメッセージは、後の時代に私がイエス・キリストを知るために、神様が備えてくださったプレゼントだったように思います。
イエス・キリストは、罪に穢れた暗闇の世界に、世の光として来られました。彼は、私たちの救いのため、悪魔と戦い、十字架と復活を通し、完全な勝利を与えてくださいました。
光の国から来たウルトラマンが、55年にわたり日本の子どもたちの世界に広く浸透しているのは、イエス・キリストの福音が世界中に伝えられ、暗闇の世界の中に神の国が今も拡大しているのに似ています。
この方にはいのちがあった。このいのちは人の光であった。光は闇の中に輝いている。闇はこれに打ち勝たなかった。(ヨハネの福音書1章4、5節)
わたしは光として世に来ました。わたしを信じる者が、だれも闇の中にとどまることのないようにするためです。(同12章46節)
高校時代の合唱コンクールの思い出
今から48年前、私が高校3年生だったとき、学校行事の合唱コンクールでの出来事を思い出しました。高校3年生ともなれば、教師から曲目も練習も指導されることなく、すべて生徒の自主性に任されていました。
私は指揮者だったように記憶していますが、コンクールの直前になっても曲目さえ決まらない状況に困惑していました。それがどうしたことか、当時テレビで放映されていた「ウルトラマン太郎」の主題歌を歌うことがにわかに決まり、あちこちで準備が始まったのです。
楽譜もなく、特に熱心に練習するわけでもなく、ただそれまで合唱コンクールに無関心だったクラスのメンバーが、まるでウルトラマンの光の国を楽しむように、さまざまな準備を始めていました。
コンクール当日の合唱は、練習不足を抱えつつ、それぞれが工夫した準備をいきなり本番で組み合わせるような状態でした。しかし、その時の合唱は、異例の選曲への期待もあり、かつてないほどの盛り上がりを見せました。確か、コンクールの結果も準優勝だったと思います。
合唱の場に持ち込んで良かったのか不明ですが、吹奏楽部にいた仲間が管楽器を持ち込み、臨場感あふれる演奏の中、それぞれが自前で工夫したパートで、ウルトラマンの光の国をたたえる曲を元気に歌い上げたのでした。
単純明快な福音理解
ウルトラマンシリーズが伝える光の国のメッセージは、長い時代にわたり子どもたちの心に届いています。そして、私を含むかつて子どもだった人々の心の中にも懐かしい思い出として刻まれています。
イエス・キリストの福音も、実は単純明快なメッセージなのでしょう。難解な聖書の詳細をひもとくことも大切ですが、世の光として悪魔と戦い、圧倒的な勝利を与えてくださるイエス・キリストを、子どものように、純粋にたたえる日々を送りたいものです。
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