相談を受けていた知人男性の自殺を手助けしたとして、福岡市西区の牧師の男(69)が23日、自殺ほう助の疑いで逮捕された。牧師は、財産を自身に譲る内容の遺言を下書きするなどしており、警察は金銭目的の可能性を疑っているという。
地元のRKB毎日放送や西日本新聞の報道によると、自殺をしたのは西区在住の男性(74)。2月末に妻を病気で亡くし、牧師に「死にたい」などと打ち明け、身寄りのない自身の葬儀や遺産などについて相談していたという。牧師は3月、財産を自身に譲渡する内容が書かれた遺言の下書きを男性に渡したり、葬儀代として数十万円を受け取ったりしていた。
男性は牧師に「自分が電話に出なければ、通報してほしい」と依頼。牧師は実際に電話をしてつながらないことを確認した上で、110番通報した。その後、警察と共に男性の自宅に駆け付け、遺体を発見したという。
男性の自宅には、現金数百万円と遺言が置かれていたほか、遺言の下書きも見つかった。牧師が、財産をすべて相続することになっていると話したことを警察が不審に思い捜査が始まったという。牧師は、男性の自宅や車も譲り受ける約束をしていたという。
朝日新聞によると、男性は他の牧師らにも相談しており、他の牧師らは思いとどまるよう説得していたという。男性が自殺した日にも、警察に相談する牧師がいたという。逮捕された牧師は、自殺の準備や実行に直接関わっていないとみられるが、警察は遺言の下書きを渡すなどの一連の行為が自殺の手助けに該当すると判断した。