COVID-19感染者100万人当たりの死者数が世界で最も多い国の一つであるハンガリーだが、ハンガリーの教会リーダーらは、去るイースター礼拝で「苦難の中の神の愛」を強調してメッセージを語った。
ハンガリーカトリックのエルドー枢機卿は「神は、悩みの時こそ忠実に人間を愛しておられる」と伝えた。枢機卿は「主イエスは、最後の晩餐で拷問と死を覚悟しつつ御父に感謝しました」と述べ、「私たちはどのような境遇にあろうとも、永遠に私たちを愛し、困難の中でも決して見捨てない神に感謝をささげることができるのです」と語った。
彼は「コロナ禍にあったこの1年、空間的には遮られたにもかかわらず、私たちの絆は強まり、人々は前よりももっとお互いを気遣うようになりました」と続け、「人々の教会離れにはまったく不安はありません。むしろ目の当たりにしていることは真逆です。多くの信者が『いつまた教会に来ることができますか』『どこで聖体拝領ができるのですか』とたくさんの問い合わせがあります。社会のすべてが正常に戻るのが待ち遠しいです」と述べた。
ハンガリー改革派教会の長であるバログ監督は「今年の絶望感はより深いが、復活と新しい人生への希望もより現実的なものになっている」と述べた。バログ氏は、牧師たちが入院中の感染患者を訪問していることに触れ、「今は衝撃的なほど困難な時代です。しかし世界はパンデミックに見舞われ、それで終わりではありません。世界を創られた方は、これを贖(あがな)い、再創造することもできるのです」と付け加えた。
彼は「再創造は個人的に始まる」とし、「政治的社会的な解決策や対策を待つだけではなく、われわれを創造し解放される愛に満ちた神に耳を傾け、自分の中から始まる変革に期待すべきではないか」とアドバイスした。彼は「キリストの復活には時代を超えたメッセージがあり、私たちは新たな始まりと復活を待っているのです」と締めくくった。
ハンガリー福音協会代表であるファビニィ監督は、「復活の主は隔絶の壁よりも力強く、鍵をかけていた弟子たちに語り掛けることができました。主は同じように今も隔離された人々に語り掛けることができるのです」と語った。「主の墓は空でした。主は閉ざされた部屋の中へすり抜けて入られ、弟子たちに道を開いたのです。ですから絶望しないでください」と呼び掛け、牧師たちの英雄的な努力についても語り、「医師、看護師、警察官、兵士、パン職人らと同様に、牧師たちも称賛に値する」と加えた。
100万人当たりの死者数が世界的に高いハンガリーだが、福音にある復活の命は力強く脈打ち、死の影と絶望を吹き払っている。苦難の中においてこそ明らかになる神の愛に信頼し、ハンガリーの兄姉が希望の使者として伝道に励むよう祈っていただきたい。
■ ハンガリーの宗教人口
カトリック 60・0%
プロテスタント 24・8%
無神論者 10・9%
正教会 1・1%
ユダヤ教 0・9%