沖縄県の辺野古新基地建設の埋め立てに、沖縄戦の遺骨が多く残る本島南部の土砂を使用する国の計画について、日本カトリック正義と平和協議会(正平協)は20日、「甚だしく非人道的な所業」と強く非難し、政府と沖縄県の玉城デニー知事に対し計画の中止を求める声明を発表した。
沖縄県では、普天間飛行場の辺野古移設に対する賛否を超え、計画の見直しを求める声が広がっている。声明は遺骨について、「カトリックはもちろん、人の生き死にの問題に向き合う宗教にとっては切要なもの」とし、「特に、沖縄での戦争で生命を失った方々にとっては、遺骨には、その国籍や立場を問わず、その方々が地上に残した無念の思い、あるいは平和への希望が宿存している」と指摘。「遺族の方々にとっても、遺骨をそのように蔑(ないがし)ろに扱われることが、耐え難い理不尽であることを誰も否定はできません」と強調した。
「(国の計画は)戦争による犠牲者をさらに犠牲にして戦争に備える行為であり、遺骨にも及ぶ人間の尊厳と聖性に対するひどいさげすみ」とする正平協担当司教のウェイン・バーント司教(カトリック那覇教区)の言葉を引用。「地上戦で多くの犠牲者を出し、今もなお日米の安全保障政策のために圧倒的な犠牲を強いられ続けている沖縄において、戦争犠牲者の遺骨が基地建設のために土砂の一部として利用されるような、甚だしく非人道的な所業がさらになされることは、決してあってはなりません」と訴えている。
声明はまた、カトリック信者に対しても、この問題に関心を持つよう呼び掛け、理解と協力を求めている。