著名なキリスト教弁証家として知られた創設者の故ラビ・ザカリアス氏の性的虐待問題をめぐって、米宣教団体「ラビ・ザカリアス国際宣教団」(RZIM)が、大幅な組織再編を含む今後の方針を発表した。職員の大多数を解雇した上、今後は虐待被害者と伝道を支援する助成団体として生まれ変わるという。
この組織再編は、米法律事務所「ミラー&マーティン」による独立調査の最終報告から約1カ月を経て発表された。報告書には、がんとの壮絶な闘いの末、昨年5月に亡くなったザカリアス氏による広範な性的不品行と虐待の詳細が報告されていた(関連記事:ラビ・ザカリアス氏性的不品行問題、独立調査の最終結果発表 団体が謝罪)。クリスチャンポストが入手した内部メールによると、RZIMは職員の6割を解雇し、組織を再編する。
ザカリアス氏の娘で、RZIMの最高責任者(CEO)を務めるサラ・デイビス氏はメールで、「(RZIMは)現在の体制では組織として活動し続けることはできませんし、実のところ、そうすべきでもありません」とし、「また、組織の名称を変えるだけで、『これまでと同じ業務』を継続できるとも思えません。多くの理由でそうすることは正しくないと私たちは確信しています」と述べた。
デイビス氏はまた、RZIMに対する経済的サポートがここ数カ月間「着実な減少傾向」にあること、さらに福音主義財務責任協議会(ECFA)による承認も失ったことを明らかにした。
調査結果を受け、RZIMは現在、資金調達を中止している。今後は、コンサルティング会社「ガイドポスト・ソリューションズ」に依頼して団体内の気風や慣習を見直した上で、性的虐待の防止と被害者の救済および伝道を支援する助成団体への移行に着手するという。
「皆さんの中でこの影響を受けた人には、ここ数週間に希望退職を願い出た人と同じ金銭的対価が提供されます」とデイビス氏は職員に告げた。
「従業員の皆さんが秘密保持契約書に署名するよう求められることは一切ありません。今後数週間、RZIMにおける皆さんの職位とは無関係に、今回の再編に役立ちそうな情報をコンサルティング会社に報告していただけるようお願いいたします」
デイビス氏によると、助成団体への移行は4~6カ月以内に完了する見込み。また、移行と並行して指導部も刷新される。
デイビス氏は6日、声明(英語)で団体名から父親の名前が削除される可能性が高いと発表した。
「私たちは団体のウェブサイトやソーシャルメディアから、ラビのコンテンツを削除しているところです。コンテンツには出版物や動画、その他の形式のものも含まれます。団体の名称も変更する予定です。直ちに着手し、『ザカリアス・インスティテュート』というブランドの使用も中止します」
デイビス氏は、「福音と真逆の方法で扱われた被害者たちのために、(RZIM一同が)深く悲しんでいること」を強調。「私たちは今回発生した組織的な過ちに心を痛め、その認識を深めるとともに、心と行いの両面で悔い改めを表明する所存です」と述べた。
ザカリアス氏による性的不品行疑惑は2017年、カナダ人女性ロリ・アン・トンプソンさんとのセクスティング(性的なメッセージや写真などを携帯電話でやりとりすること)疑惑から始まり、学歴詐称疑惑に発展した。また、ザカリアス氏が共同所有していた米ジョージア州のデイスパ(美容施術などを行う施設)で働くマッサージ療法士十数人に対する性的虐待は、ザカリアス氏が亡くなった後の昨年夏に明らかになった。
報告書によると、療法士らはザカリアス氏が「セクスティングや不本意な身体的接触、霊的虐待、レイプ」などを行ったと非難している。
トンプソンさんは10日、ツイッター(英語)にデイビス氏のために祈るよう求める投稿をした。
「祈ることが皆さんの習慣の一部であるなら、私は皆さんが今日も今後も、サラ・ザカリアス・デイビスのためにそうしてくださることを求めます。コメントやご批判はお控えください。彼女が苦しみの道だけでなく誠実の道も歩むよう、静かに熱心にお祈りください。私はそうするつもりです」