米宣教団体「ラビ・ザカリアス国際宣教団」(RZIM)は23日、同団体の創設者で世界的なキリスト教弁証家として知られていた故ラビ・ザカリアス氏の性的不品行疑惑に関する独立調査の中間報告を発表し、「性的不品行を行っていたことは間違いない」とする見解を示した。
RZIM理事会はこの日、調査を依頼している米法律事務所「ミラー&マーティン」の中間報告(英語)を公開。公式サイトに掲載した文章(英語)で、「悲しいことに、暫定的な調査結果は、ラビの行為に関する評価が真実であることを示している。彼が性的不品行を行っていたことは間違いない」と認めた。
ザカリアス氏は5月、がんとの壮絶な闘いの後に死去し(関連記事:世界的キリスト教弁証家のラビ・ザカリアス氏死去 74歳)、性的不品行疑惑はその数カ月後に浮上していた。
RZIMは、「この不品行は深い苦渋をもたらすとともに、ラビ・ザカリアスという男が40年余りにわたって公私共にささげてきた奉仕の生涯と完全に矛盾している」とした上で、「ラビの不品行の被害を受けた」人々にとっては極めて痛ましいものだと述べた。
ザカリアス氏が共同所有していたデイスパ(美容施術などを行う施設)のマッサージ療法士らは、ザカリアス氏が腰痛治療のために定期的にデイスパを訪れ、そこで性的不品行を行っていたと語っていた。
弁護士のスティーブン・ボーマン氏や米クリスチャニティー・トゥデイ誌(英語)に被害を語っていた女性3人によると、ザカリアス氏は施術中に下半身を露出して自慰行為をしたり、卑猥(ひわい)な写真や性交渉さえも要求したりしたという。
ミラー&マーティンの調査チームは、「タッチ・オブ・エデン」「ジバン・ウェルネス」などのデイスパで働いていたマッサージ療法士らをはじめとする目撃者数十人に聞き取り調査を行うとともに、多数の文書やザカリアス氏が使用していた電子端末を再調査した。
「聞き取り調査と、文書および電子データの再調査を総合した結果、ザカリアス氏が長年にわたって性的不品行を行っていたことを示す重要かつ信頼に足る証拠が見つかりました。複数の不品行は最近ニュースで報道されたものと一致しており、報道内容を裏付けるものです。また、私たちが発見した行為の幾つかはさらに深刻です」
調査は現在も進行中で、来年1月か2月には完了する見込みだという。調査チームには、「今後浮上する可能性のある新たな性的不品行の調査を進めるための広範な裁量と権限」が与えられている。
「私たちはこのことを知って心を痛めていますが、調査が続いている今この時にも、透明性を保ち、スタッフや献金者、支援者の皆様にお知らせする必要があると感じています」とRZIMは述べている。
ザカリアス氏の性的不品行疑惑をめぐっては、RZIMの弁証家の一人であるマックス・ベイカーヒッチ氏が12日、2017年に取り沙汰されたカナダ人女性ロリ・アン・トンプソンさんとの間のセクスティング(性的メッセージや写真を携帯電話でやりとりする行為)疑惑を含め、RZIMの対応を批判する文書(英語)を公開していた。中間報告はベイカーヒッチ氏による批判が出た後に発表された。
RZIMのオックスフォード・キリスト教弁証センターで上級講師を務めるベイカーヒッチ氏は、被害者とされている人たちに「意味のある賠償」を行い、RZIMの気風を根本的に変えるよう指導部に呼び掛けていた。
RZIMは調査が完了し次第、最終報告を発表するとしている。