ジョー・バイデン米大統領は14日、ホワイトハウスに信仰に関する部署を設置するよう命じる大統領令に署名した。同種の部署は、ジョージ・W・ブッシュ政権下で初めて設置されて以降、各政権が名称や形態の違いはあるものの、継続して設置してきたもので、それらを踏襲した形。
バイデン氏が設置を命じたのは、バラク・オバマ政権下と同じ名称の「信仰に基づく隣人パートナーシップ局」。ブッシュ政権下では「信仰に基づくコミュニティー・イニシアチブ局」、トランプ前政権下では「信仰・機会イニシアチブ」だった。
大統領令(英語)は、社会における宗教団体などの重要性を次のように強調している。
「信仰に基づく組織、また地域社会に奉仕するその他の組織は、特に有色人種を含む低所得者やその他の十分なサービスを受けていない人々および地域社会のニーズに対処し、それらを支えるためのわが国の能力にとって極めて重要である。米国民はわが国に根本的な変化をもたらす重要な推進力であり、信仰に基づく組織や地域社会に奉仕するその他の組織の人々ほど国民に近い機関はない」
その上で大統領令は、連邦政府が州政府やその他の民間団体とも連携を図りながら、宗教団体やその他の非営利団体が効果的にサービスを提供する能力を強化することが重要だと指摘している。
大統領令のファクトシート(英語)によると、局長はオバマ政権下でも局長を務めた女性弁護士のメリッサ・ロジャーズ氏。ロジャーズ氏はバプテスト派の家庭に生まれ、ウェイクフォレスト神学大学院の宗教公共問題センター長や「宗教的自由のためのバプテスト合同委員会」(BJC)の最高顧問弁護士などを歴任した。副局長は福音派のクリスチャンで、バイデン政権下ですでに「信仰的関与に関する国内ディレクター」として活動しているジョシュ・ディクソン氏。ディクソン氏は10年以上にわたり民主党で活動しており、オバマ政権下でも一時期、同局で働いていた経験がある。
バイデン氏はツイッター(英語)に、「新型コロナウイルスから経済危機に至るまで、われわれは大きな挑戦に直面している。そして信仰に基づく組織、また地域社会の組織はこれらの問題に取り組むために欠かせない存在だ」と投稿し、同局の意義を強調。「だから今日、私はホワイトハウスに『信仰に基づく隣人パートナーシップ局』を再び設置した。さあ、課題に取り組もう」と述べた。
トランプ前大統領は、就任1年後に米国の「国家祈祷日」に合わせて「信仰・機会イニシアチブ」を設置。トランプ前政権下の組織以外はすべて、ホワイトハウスの内政を統括する「国内政策会議」(DPC)の下に設置されたが、トランプ前政権ではDPC外の組織として設置された。