「喜んでいる心は顔色を良くする。心に楽しみのある人には毎日が祝宴」(箴言15章13、15節)
人が最も魅力的に見えるのは、どんなときでしょうか。私は間違いなく、それはほほ笑んでいるときだと思います。笑顔こそ、その人の魅力を最大限に表現する表情だと思います。
旧ソビエト連邦のユーリイ・ガガーリンは1961年ボストーク1号に乗って宇宙から地球を見た最初の人となりました。宇宙飛行士に選ばれるためには何十にもわたるテストがあるのですが、その中で最終選考に残ったのがガガーリンとチトフでした。
参考委員たちはチトフを推薦しました。理由はチトフの方が体重が2キログラム軽かったからです。1グラムでも軽くしたいと考えていた委員たちにとって当然の選択でした。
しかし最高責任者のコロリョフ博士は「だったら荷物を2キログラム降ろせ。最初の宇宙飛行士はガガーリンだ」と言って決定しました。その理由を聞かれた博士は「ガガーリンの笑顔がいい」というものでした。最終選考に残った2人は能力において差はなかったと思います。だからこそ選考委員たちは体重の軽いチトフを選ぼうとしたのですが、博士は笑顔で決めたのです。
なぜでしょうか。実は、笑顔がいい人は精神的に安定しているのです。宇宙空間では何が起こるか分かりません。万一のトラブルのとき、一番大切なことはメンタルが安定していることです。少々のことでは動揺しない心の持ち主こそ、この人類の大事業にふさわしいと考えられたのです。
また、魅力的な笑顔を持つ人は周囲の人の心を引きつけ、とりこにします。かのナポレオンがまだ無名の一将校であったとき、政府から特別に引き立てられて、イタリヤ征討軍の指揮官に任命されたことがありました。彼の命令に従わなければならなくなった先輩の将軍たちは面白くありません。この無名の若者をやっつけてやろうと待ち構えていたのです。
そこへナポレオンはやってきました。そして彼が魅力的な笑顔で自己紹介をし、自分に対する協力を要請したとき、先輩の将軍たちはナポレオンの魅力に圧倒されていました。ナポレオンは、自分に近づくすべての人を同じような魅力で引きつけました。この魅力はエルバ島に追放された後も人々を引きつけ、再びフランスへ再起して帰還することに成功させました。
ナポレオンはエルバ島から単身でフランスへ上陸し、それまでの政権を血を流さずに数週間で転覆させてしまったのです。「笑顔クラブ」のホームページにあった「笑顔の12の言葉」という詩を紹介します。
「はい」と笑顔で素直に言いたい。
「がんばります!」と笑顔で前向きになりたい。
「お願いします」と笑顔で信じて託したい。
「おかげさまで」と笑顔で謙虚になりたい。
「ごめんなさい」と反省したあと笑顔になりたい。
「どうぞお先に」と笑顔で譲りたい。
「がんばりましょう」と笑顔で励ましあいたい。
「だいじょうぶ」と笑顔で受けとめたい。
「楽しいですね」と笑顔で感動したい。
「うれしいです」と笑顔で感激したい。
「よかったね」と笑顔で喜びあいたい。
「ありがとう」と笑顔で感謝したい。
魅力的な笑顔こそ、その人の大きな財産です。
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