3日に行われた米大統領選で不正があったとしてドナルド・トランプ大統領の選対陣営などが起こしている一連の訴訟で、激戦州の一つである北東部ペンシルベニア州の州裁判所は12日、そのうちの一つの訴訟についてトランプ陣営側の主張を認め、一部の郵便投票を無効とする判決を下した。地元のフィラデルフィア・インクワイアラー紙(英語)などが伝えた。
同紙やキリスト教テレビ局「CBN」(英語)などによると、同州法は郵便投票を申請した有権者に対し、9日までに必要な身分証明書を提出することを義務付けている。しかし同州のキャシー・ブックバー州務長官は選挙2日前になって、この期日を3日間延長し12日まで認めるとしていた。同州では今年初め、投票日の11月3日までに郵送され、その後3日以内に到着した郵便投票を有効とする司法判断が出されており、ブックバー氏はそれを根拠に延長を発表していた。
しかし、同州の高裁に相当するコモンウェルス(州)裁判所は12日、ブックバー氏には期日延長を決める権限はないと判断。9日以降に身分証明書を提出した有権者による郵便投票を無効とするよう命じた。
同紙によると、12日時点の集計では、ジョー・バイデン氏がトランプ氏に5万4千票(0・8ポイント)の差をつけている。無効となった投票数はまだ反映されておらず、今回の判決がどの程度影響するかはまだ明らかではない。しかし、同州最大の郡であるフィラデルフィア郡では、申請時に身分証明書を提出していない、あるいは提出しても有権者名簿の情報と一致していなかった有権者による郵便投票が約2100票あることを、選挙当局が明らかにしており、このうちの一部が無効となる可能性がある。
同州当局は、州最高裁への上訴についてまだ意向を明らかにしていない。ロイター通信によると、この訴訟はトランプ氏の選対陣営と共和党全国委員会が起こした。
トランプ陣営はこの他、同州内の複数の州裁判所と連邦裁判所で提訴している。同紙によると、今回の訴訟はその中でも比較的小規模のものだが、トランプ陣営の弁護団は重要な勝利として歓迎した。
トランプ陣営の法務顧問であるマット・モーガン弁護士は、「この判決は、(ブックバー)州務長官が選挙の期限や日付を好きなようにしてきたという、われわれの主張を裏付けるものだ」とコメント。係争中の訴訟はいずれも、現在の票差を覆すほどのものではないとの見方を示しつつも、勝訴が続きバイデン氏のリードを0・5ポイント以内にまで縮めることができれば、州法に基づく投票の再集計につなげられる可能性があると説明した。