国際的な創作グループが、聖書の「新しく面白い解釈」に役立ててもらおうと、単語をすべてアルファベット順に並べ替えた聖書「バイブル・ザ」(英語)を出版した。
この「バイブル・ザ」(聖書は英語で「The Bible」だが、それもアルファベット順に並べ替え「Bible The」としている)プロジェクトは、「人類に多大な影響を与えた書物」をアルファベット順に再編成する大規模なプロジェクトの第一弾として行われた。
プロジェクトを手掛けたのは、デザイナーやライター、プログラマーからなる国際的な創作グループ「サイドライン・コレクティブ」。独自にカスタマイズしたソフトウェアを使い、格調の高さで知られる英語訳聖書「欽定訳」(KJV)に書かれているすべての単語をアルファベット順に並べ替えた。
「これにより、それぞれのテキストが最も小さな共通単位にまで蒸留されます。これは、人々が言葉の順番とその意味に重きを置く傾向があることに光を当て、抽象画がそうであるように、書かれた言葉の新しく面白い解釈を可能にしてくれます」
そして「その結果であるテキストの還元主義的な解釈は、幾つかの魅力的な発見をもたらしてくれます」とし、このプロジェクトによって聖書には「正のバイアス」がかかっていることが分かったという。
例えば、「good」は720回登場するのに対し、「bad」は18回しか使われていない。「love」は308回だが「hate」は87回にすぎず、「happy」は28回のみの登場だが、「sad」はさらに少なく11回。「life」の451回に対し「death」は371回。さらに「angels」は94回だが「devils」は55回、「saints」は96回だが「sinners」は48回、「blessed」は302回だが「damned」はわずか3回しか使われていない。
だが逆の例もある。「enemies」は269回登場するのに対し、「friends」は49回しか使われていない。
米テックメディア「CNET」(英語)の取材に応じたサイドライン・コレクティブの創設メンバーであるジョセフ・アーンストさんは、アルファベット順に並べ替えることで「著者の偏見を除いて聖書を見ることができ、分析することができます」と語った。
「その延長として、私たちはこれらのアルゴリズム(著者のバイアス)をどのように壊し中性化させることで、私たちの人生がいかに(著者のバイアスから)影響を受けないようにするかに興味を持っています」
「昨日の有名な本は、今日のアルゴリズムの前触れと考えることができます。それらは、今のソーシャルメディアがそうであるように、人類の思考を形成しています。だから、それを調査することに興味を持ちました」
「本をデータとして見ると、文章の中にある統計的な情報を見ることができ、そうでなければ見つけることができないような洞察を発見することができます」
「バイブル・ザ」は1364ページの革製本(数量限定)で、価格は2千ポンド(約27万円)。一方、電子書籍版もあり、こちらは10ポンド(約1350円)と手軽な価格になっている。購入はこちら(英語)から。