カトリック長崎大司教区で会計を担当していた司祭が2013年、教区の資金2億5千万円を無断で流用し、そのうち2億3200万円を損失した問題について、同教区は今月発行の機関紙「カトリック教報」で「重大な不手際」だったことを認めて謝罪した。債務者に対し継続して返済を要求するとともに、司祭本人また髙見三明大司教と教区顧問、司祭団それぞれが可能な限り欠損を穴埋めするとし、教区会計のさらなる透明化を押し進めることを約束した。
同教区によると、当時会計を担当していた司祭は13年7月、知人の依頼を受け、大司教や顧問会の決裁を仰がずに5千万円を貸し付け、9月には同じ知人が関与する事業に1億円を投資。さらに同月中に再度依頼があり、1億円の短期貸し付けを行った。いずれも司祭の単独での決裁だったという。教区は債務者である司祭の知人に返済を求めているが、返済は1800万円にとどまっている。
一部報道で、信徒の献金を消失させ、さらに佐々教会(長崎県佐々町)の建設資金が流用されたのではないかと指摘されたことについては、大浦天主堂(長崎市)の拝観料などからなる特別会計「不動産取得資金」からの流用であり、信徒や修道者、司祭が納入する教区費や各種献金からではないと否定した。ただし、佐々教会建設の資金が必要となったときに銀行から借りざるを得なくなり、総額約438万円の利息を支払わなければならなくなったことは事実と認めた。
同教区は司祭に対し、役職の解任、トラピスト修道院(北海道北斗市)での1カ月の謹慎、他教区への3年間の派遣、教区への返済義務などの制裁を科した。司祭はこれまでに約500万円を返済しているという。
髙見大司教は「信者の皆様に大変ご心配とご迷惑をおかけしました。すべては教区長としての私の責任です」と謝罪し、「今後このようなことが二度と起こらないよう万全の対策を講じます」とした。
また、資金を流用した司祭本人も「私の軽率さがもたらした重大な結果により、主キリストと皆様の教会を傷つけ、不信と躓(つまず)き、痛みと悲しみを招いてしまいましたことを深く反省し、心からお詫び申し上げます」と謝罪。「今後は、決して十分ではないことを自覚しつつも、私にできる償いを命尽きるまで継続するほかありません」と述べた。