物価の上昇率(インフレ率)が年率840パーセント近くまで上昇するなど、社会的に危機的な状況にあるアフリカ南部のジンバブエと同国の教会に対し、世界教会協議会(WCC)などキリスト教の4団体は18日、公開の牧会書簡(英語)を発表した。
書簡は、WCC、ルーテル世界連盟(LWF)、世界改革派教会共同体(WCRC)、世界メソジスト協議会(WMC)の4団体によるもの。書簡では「あなたの国の兄弟姉妹たちの嘆きを聞き、あなたがたが苦しんでいる状況を深く憂慮している」と述べ、ジンバブエの人々への連帯を表明。人口の約半数が飢餓、驚異的な失業率、汚職などに直面していることに触れ、現在の危機的な状況を危惧した。
また新型コロナウイルスがさらに経済を悪化させ、「既にぜい弱な公衆衛生と教育システムに深刻な影響を与えている」と指摘。首都ハラレの病院では、防護服の不足などを理由に医療関係者がストライキを行い、出産を迎えた赤ちゃんが死産になるケースも出ている。書簡ではこうした状況にも触れ、「子どもや妊婦を含む何百万人もの人々が、必要不可欠な医療を受けることができない原因となっている」と述べている。
その上でこうした問題は、「失敗した統治構造により、長年にわたって人権が保護されず、汚職がはびこっていたことが根本的な原因」と指摘。政府に抗議する人々を標的にした暴力行為を非難し、特に女性活動家に対しては性的虐待も行われているとして、強く非難した。
「私たちは、ジンバブエで最も弱い立場にある人々に仕える教会の現在進行中の奉仕に励まされ、キリスト・イエスにある希望を不動のものとしながらも、『その中でも最も小さき者』に思いをはせ続けるよう呼び掛けます。最も弱い立場にある人々のためにあなたの声が上げられ続けますように」
最後には「兄弟姉妹の皆さん、私たちは全世界のキリスト教の家族の継続的な祈りを保証します」と励まし、「私たちが共有する信仰を堅持してください。それは、私たちをキリストにある統一の中で結び付け、正義を求め、平和のために働くことを強制するものです」と述べた。
ジンバブエでは2017年に軍事クーデーターが起こり、約30年にわたり大統領の職にあったロバート・ムガベ前大統領(19年に死去)が失脚した。ムガベ政権下では経済的失政により、2008年7月には、インフレ率が年率2億3100万パーセントのハイパーインフレとなったこともある。