1987年からロバート・ムガベ大統領(カトリック信徒)の長期政権が続くアフリカ南部のジンバブエで、教会指導者たちが、過去1カ月にわたる市民の暴動や暴力を引き起こした同国の政治的・社会的・経済的な問題に懸念を表明した。世界教会協議会(WCC)が18日、公式サイトで伝えた。
8つの教会や地域社会の組織による共同声明文で、教会指導者たちは、「政党間の対立によって、この国に影響を及ぼしている本当の経済的・社会的な問題に政府が対処するのを邪魔されていることを憂慮している」と述べた。
同指導者らはジンバブエ政府に対し、苦しんでいる市民の叫び声に耳を傾けるよう求めた。「私たちの国で貧しい人々や不利益を被っている人々を代弁して、公正さと憐れみをもって行動する必要がある」と、同声明文には記されている。
教会および地域社会の指導者たちは、法の執行機関(警察)による市民に対する残忍な行為を非難した。「デモをし抗議をする市民の憲法上の権利は保護されなければならない」と、同指導者らは述べた。「この権利を行使するに当たって、私たちは市民に対し、デモにおいて常に平穏を保つよう嘆願する」
ジンバブエは80パーセントを超える失業率や、ビジネスを麻痺させ、何千人ものジンバブエ人の暮らしを破壊している越境的な輸入規制、警察による不必要な道路の封鎖であおられる汚職など、多くの問題に直面している。
「これら全てのことから、市民は自国の政府に対する信頼や信託を失ってしまったのだ」と、同声明文は述べている。「私たちは政府に対し、市民に残忍な扱いをした法の執行機関を直ちに調査し、起訴するよう求める」
国家の全面的な崩壊を防ぐために、政府は市民が懸念しているこれらの本当の問題に早急に取り組むべきであると教会指導者らは強く求めた。
「私たちは、この国の塩であり光である教会に対し、祈り続け、またいかなる不正なシステムに対しても預言者的に声を上げ続けるよう呼び掛ける。どの市民にも神から与えられた憲法上の権利が尊重され、平和で繁栄したジンバブエになるまで」と、同声明文は述べている。「神が私たちジンバブエ人に、自らの問題に向き合う勇気と信仰、そして希望をお与えくださいますように」
市民の権利が日々侵害され、警察による道路封鎖で強要が常態化しており、ジンバブエには恐怖の風潮が生み出されてきたと、WCCのゲオルギオス・レモポウロス副総幹事は述べた。
「私たちは、食糧が不安定なジンバブエの300万人の人たちのために祈ります。そして私たちは、ジンバブエ人が意味ある解決に到達するのを助けようと団結している、教会と地域社会の組織のためにも祈ります」
レモポウロス副総幹事は、WCCはジンバブエにおける正義と平和の声を増幅するのを助ける用意ができていると語った。「(同国の)民の窮状を無視してしまっては、人間の犠牲が私たちにはあまりにも大きすぎる」と、同副総幹事は語った。
英クリスチャントゥデイも14日、ジンバブエにおける反政府の抗議が「すぐにでも市民の暴動へと爆発しかねないと教会指導者たちが警告している」という見出しの記事を掲載。教会指導者たちがムガベ大統領に対し、「苦しみが大きくはっきりしている市民の叫び声に耳を傾ける」よう要求したと報じていた。
なお、WCCが1998年12月にジンバブエの首都ハラレで開催した第8回総会の主題は、「神に帰ろう、希望を持って喜ぼう」であった。