南アフリカのヨハネスブルグにある中央メソジスト教会で保護されていた数百人の難民が、同教会の役員会による決定の後、教会を強制退去させられた。しかし、同教会の元聖職者によれば、難民らはすでに新たな宿泊場所を見つけることができている可能性はあるという。
先月まで同教会の最高責任聖職者であったポール・ベリン監督は、これまでに難民など家のない人々のために住宅を手配する責任と奉仕を務めてきた。過去6年の間に支援した人の数はおよそ3万人に上る。昨年末まで、ジンバブエからの難民約400人は同教会に留まることが許されていたが、教会側はこれまでと同じようにこのミニストリーを続けることができないと判断、今回教会から退去させられることになった。
しかし、ベリン氏がジンバブエのラジオ放送局「ネハンダ・ラジオ」に伝えたところによれば、支援の申し出が国内中から寄せられている。「ブルームフォンテーン、ウェルコム、ポチェフストルーム、その他の多くの場所から、人々が支援を申し出ようと声を上げてくださいました。助けたいという申し出は、本当に素晴らしい限りです」と同氏は語った。
「宿泊は、ソウェト(ヨハネスブルク南西郊外の地区)にあるコミュニティーセンターで一部提供できることが分かっています」。同氏は、教会からさほど遠くない所に、難民のための宿泊先として提供する建物を探すつもりであると話している。
教会を難民に開放することは、長い間にわたり議論されてきた。近年では、約300万人がジンバブエを去ったとされている。その多くが、隣接する南アフリカのヨハネスブルグへ向かい、何千もの人が教会で宿泊場所を与えられた。こうした難民の発生は、2008年にジンバブエで、外国人の存在を嫌う地元当局からの、外国人に対する攻撃があったことによる。また同国の失業率は25パーセントと高い。
しかしながら、教会はあまりにも多くの人々を収容したために、その環境が劣悪な状態になってしまった。伝えられるところによると、エレベーターは故障したままで、階段や廊下で寝ている人々もおり、洗濯がままならず、公衆衛生施設も不足しているという。
2010年のある報告書は、教会に避難した同伴者のいない子どもたちの窮状に対する懸念を提起、性的虐待の可能性も指摘した。また、このような暮らしの中で暴力やアルコール依存症の問題もあり、コレラなどの病気も一定の脅威となっていた。地元当局や他のグループは、難民を保護するには、教会は不適切な場所であると主張したが、ベリン氏と同氏の支持者は、難民らが強制的に追い出され路上生活を余儀なくされた場合、差別と暴力の危機に直面する恐れがあると反論していた。
2010年、ベリン氏自身は越権行為を理由に、一時的にメソジスト教会から停職させられるが、後に復職している。今後はソウェトで最高責任聖職者として奉仕することになっており、これからも貧困撲滅のための活動を継続していく。