警官の暴力や人種差別に抗議するデモが2カ月以上続いている米北西部オレゴン州ポートランドで、「ブラック・ライブズ・マター」(BLM=黒人の命も大切)のボードを持った暴徒たちが、連邦裁判所の前で聖書を火の中に投げ入れたり、星条旗を燃やしたりするなどした。
地元テレビ局の報道(英語)によると、聖書が燃やされたのは、抗議が始まって62日目の7月31日から8月1日にかけての夜。
「(8月1日)午前0時半ごろ、人々が連邦裁判所の前の通りで物を燃やし始め、聖書を燃やし、次に星条旗を燃やし、次々と物を火に投げ込んでいきました。最終的に午前1時ごろ、黄色のシャツを着た『BLMのために団結する母親たち』のグループのメンバーが火元に行き、ボトルの水をかけ、足で踏んで火を消しました」
米保守派オンライン紙「ヒューマン・イベント」のイアン・マイルズ・チョン編集長は、「左翼活動家たちが、ポートランドの連邦裁判所の前で燃やすためにたくさんの聖書を持ってきました」と述べ、当時の様子を捉えた動画をツイッター(英語)で共有した。
Left-wing activists bring a stack of Bibles to burn in front of the federal courthouse in Portland. pic.twitter.com/lYWY0x8n8P
— Ian Miles Cheong (@stillgray) 2020年8月1日
「聖書を燃やすことと警察の横暴に抗議することに何の関係があるのか分かりません。これらの抗議や暴動が、西洋文明を解体し、伝統と宗教の自由によるこの何世紀をひっくり返すものでは決してないというような幻想を抱いてはいけません」
動画は3日時点で530万回以上再生され、ドナルド・トランプ大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏もツイッターにコメントを投稿。「今、われわれは焚書(ふんしょ)の段階にまで移った。反ファシストたちが、実際には彼らが支持すると主張することを支持していないことは、ほとんど確かだと思います。恐らく、彼らの名称から「反」の部分を削れば、まさにそれが正確でしょう」と語った。
ポートランドにおける抗議デモは、中西部ミネソタ州ミネアポリスで5月25日、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえ付けられ死亡する事件が発生して以来続いている。
トランプ大統領は、連邦政府の建物を保護し暴動を取り締まるため、武装した連邦職員をポートランドに派遣。しかし、オレゴン州のケイト・ブラウン知事からの「度重なる要求」の後、連邦政府は「連邦職員の段階的撤退に合意した」とし、今週から撤退を始めた。ブラウン氏は、連邦職員が「占領軍」として行動し、「私たちのコミュニティーに暴力と争いをもたらした」と非難した。
米国土安全保障省は1日、暴動が沈静化しつつあると述べる一方、ポートランドの連邦裁判所と他の連邦財産が安全であると判断できるまで、当面の間、連邦政府の影響力を行使すると語った。
ポートランドでは7月31日、18歳の青年が連邦裁判所の入り口に爆発物を投げ込んだとして起訴された。
米フォックス・ニュース(英語)によると、オレゴン州のビリー・ウィリアムズ連邦検事は、「政府の建物に大きな爆発物を投げ込んでも正当な抗議メッセージは得られない」とコメント。「青年の行動は、裁判所の近くにいた法執行官や、近くに立っていた他の抗議者、あるいは彼自身に重傷を負わせる可能性がありました」と言い、青年の行動を批判した。
また、オレゴン州のラッセル・バーガー連邦保安官は、「放火のような危険な暴力行為に従事している暴力的な日和見主義者は、重大な結果になることを認識する必要があります。この種の重大な犯罪は、単なる裁判所の物的損害にとどまらず、人々の生活を危険にさらすものです」と述べた。