米東部バージニア州で、所有地に不法侵入した白人の男女5人を、黒人牧師が所持していた拳銃を取り出して追い払った上、警察に通報したところ、不法侵入者ではなく牧師が逮捕されるという事件があった。牧師はすでに釈放されており、警察側が謝罪。白人の男女5人は、不法侵入のほか脅迫暴行などの罪で起訴された。
地元テレビ局の報道(英語)などによると、誤認逮捕されたのはライトハウス教会のレオン・マクレイ牧師(61)。マクレイ氏は1日、同州北部エディンバーグにある自身が所有するアパートの敷地内に男女2人が侵入し、敷居内にあったダンプスター(金属製の大きなゴミ箱)に冷蔵庫を捨てようとしているのを発見した。2人はアパートの住人ではなく、マクレイ氏が不法侵入だとして立ち去るよう警告すると、2人は怒り出したという。
男はその場を立ち去ると別の3人を連れてきて、マクレイ氏に対して暴言を吐いたり、暴行を加えたりした。マクレイ氏によると、黒人差別反対運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」にかけて、「Black lives don’t matter(黒人の命は大切ではない)」と言うなどして脅迫し、マクレイ氏は命の危険を感じたという。
そのためマクレイ氏は、合法的に所持していた拳銃を取り出して5人を一時的に追い払い、警察に通報。「トラウマになるような経験」をしたと説明したが、通報の受け付け担当者は、マクレイ氏の状況には関心を示さず、マクレイ氏が銃を所持していたことについてのみ詳しく確認したという。
その後、数人の警官が現場に駆け付けると、マクレイ氏は拳銃を没収された。マクレイ氏によると、警官は白人の5人とは話をしたが、マクレイ氏からは事情を一切聞かず、拳銃を振り回したとして、その場でマクレイ氏を逮捕した。
逮捕後、マクレイ氏はこの地域を管轄するティモシー・カーター郡保安官と面談。逮捕2日後の3日、不起訴となった。カーター氏は「(マクレイ氏と)同じような状況にいれば、私も恐らく同じこと(拳銃を取り出す)をしたでしょう」と述べ謝罪。責任者2人を調査が終わるまで無給休職としたと明らかにした。
一方、白人の男女5人は不法侵入や脅迫暴行、ヘイトクライム(増悪犯罪)などの複数の罪で起訴され、現在勾留中。初公判は7月17日に行われる予定。