環境に適応して生きる生物の不思議が、美しい映像と共に紹介されるNHKのテレビ番組「ダーウィンが来た」は、2006年から14年以上も続く長寿番組です。この番組に登場するマスコットキャラクター「ヒゲじい」は、ナレーターを質問攻めにして、生き物の不思議をより詳細に伝える役割を担っています。
番組の構成上、この「ヒゲじい」の質問時間は限られ、最後にはダジャレで笑いを取って終わりますが、映像で紹介される不思議な生き物の世界は、さらに多くの疑問を私たちに投げ掛けてくれます。
現代の科学は、この自然界の何パーセントくらいを解明したか?という質問をされると、皆さんはどんな答えをするでしょうか。科学的な知見を少しでもお持ちの方なら、この自然界の不思議はあまりに深淵で、ほとんど何も解明できていないことに気付かれるでしょう。解明率は限りなくゼロに近いと思います。
そもそもなぜ生物が存在するのか分からない
この地球にはたくさんの生物がいます。多様な生物を育む環境が見事に備えられ、科学的な知見では理解できない不思議な営みが随所に見られます。ところが、そもそもこれらの生物が誕生する環境が、この地球のどこにも存在しません。
ある人は、深海に生物誕生のルーツを求め、またある人は、はるか宇宙の果てにまで調査を進めます。しかし、これらの探求は科学の限界を示すばかりです。
現代科学は、あらゆる環境で生物が誕生しないことを示しています。この地球に生物が存在していること自体が大変不思議なことなのです。
凍った海の底で魚が生きている理由が分からない
小学生のころ、理科の授業で「なぜ氷は水の上に浮くのか?」と先生が質問しました。私は大まじめに「氷の下には魚が泳いでいるから」と答え、クラスの皆に笑われたのを覚えています。
今でしたら、「水分子の特殊な構造により、4℃で最も密度が高くなるため」と分かったような答えをするのでしょうが、通常、固体になれば密度が上がって重くなるはずなのに、なぜ水だけがこのような特徴を示すのか、いまだによく分かりません。
さらに考えてみれば、簡単な構造をしている水が、常温で液体であることも不思議です。他の分子のように気体であれば、ほとんど水でできている人間は存在できないでしょう。
いずれにしても、この水の特殊な性質の故に、多くの生命が守られているだけでなく、地球環境が維持されているのは間違いありません。
生物を守るために、氷が水に浮くように造られていると考えた私の答えは、科学的な答えではありませんが、間違っているわけではないように思います。
リンゴが木から落ちる理由が分からない
本当の話か分かりませんが、りんごが木から落ちるのを見て、ニュートンが万有引力を発見したといわれています。質量に比例し、距離の二乗に反比例する万有引力の発見は、確かに科学の領域を飛躍的に拡大させました。
しかし、万有引力とは何か?なぜ存在するのか?については、ニュートンの発見以来300年以上が経過し、科学的な知見が大幅に増えたものの、いまだに不明なままです。
一般相対性理論や量子力学も、万有引力の現象を紐解くだけで、原因や発生原理の解明には至っていません。
科学の専門家には判断できないことが多い
このように、自然界のどの分野を眺めても、一つの発見がより大きな疑問を生み出し、ついには行き詰まってしまいます。自然界の不思議は、現代の科学で解明できるような簡単なものではありません。
科学の専門家は、知識が増えるほど疑問が増えていきますので、通常、はっきりとした説明や判断が難しくなります。誠実な科学者ほど、自信の無い話し方をするようにさえ思います。
自信満々に科学的な知見を伝え、自らの判断を述べる人は、科学者というより政治家に近いように思います。専門家の意見を代弁して、科学的な知見を雄弁に語る人には、さらに注意が必要です。
「自然界の不思議」に謙遜に寄り添う
私たちは、神様の造られた美しい自然界に対し、畏れを持って謙遜に寄り添いたいものです。得られた知見を振りかざすことなく、深まった疑問に心を傾け、神様の創造の御業を心から褒めたたえたいと思います。
「自然界の不思議」に謙遜に寄り添う姿勢こそ、福音宣教の基本になるのでしょう。
主よ あなたのみわざは なんと大きいことでしょう。あなたの御思いは あまりにも深いのです。(詩篇92篇5節)
神の、目に見えない性質、すなわち神の永遠の力と神性は、世界が創造されたときから被造物を通して知られ、はっきりと認められるので、彼らに弁解の余地はありません。(ローマ1章20節)
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