7月1日、ロシア憲法改正をめぐって、コロナウイルスのために延期されていた国民投票が行われ、およそ8割の賛成票が投じられた。ロシアでは1993年の修正以来、27年ぶりに大幅な憲法改正が可決されたことになる。今回の憲法改正では、現職のプーチン大統領の続投が2036年まで可能となるため、過剰な大統領権限の集中が懸念される一方、「神への信仰」や「男女間の結婚」が明記されるなど、われわれキリスト者にとっても好ましく思える保守的な価値観に立つ条文も盛り込まれた。
同性結婚の合法化に歯止めがかからない西側諸国に対して、ロシアは伝統的価値の擁護者として旗手を務めている。
他方、世界有数の穀物輸出国であるロシアは、コロナ危機による食糧供給の不安定化を見越して、穀物輸出を停止すると発表した。
該当する品目は、小麦やライ麦、トウモロコシ、大豆や食用油などだ。農業大国のロシアのこの決定は、今後の世界的な食糧供給網に深刻な影を落としかねない。とりわけEUはロシアからの小麦や食用油の輸入量が多く、コロナ禍によって大きな打撃を受けた欧州各国の今季穀物生産量によっては、安全保障上の重大な問題に発展することも否定できない。
ロシア政府は、国内の穀物供給の安定化を図るためだと説明しているが、どうやらそれだけの理由でもなさそうだ。というのも、南スーダンやサウジアラビアなどには輸出制限を除外しているからだ。そこには食料供給を通して、自国の影響力と国益を図ろうとするロシアの思惑が見え隠れする。
食料供給は直接人命に関わる重要な資源だ。ロシアなどの大国がこれを外交カードとして使い、世界全体の安定を損なうようなことは、賢明な判断とは言えない。
世界的な食糧の安定供給のために祈ろう。
また信仰の自由が制限されているロシアの福音主義信者らが不当な扱いに負けず、宣教を通して豊かな実を結ぶことができるよう祈っていただきたい。
■ ロシアの宗教人口
ロシア正教 64・0%
プロテスタント 2・1%
カトリック 0・6%
イスラム 12・5%