6月25日に朝鮮戦争開戦70周年を迎えるのを前に、世界教会協議会(WCC)や韓国キリスト教教会協議会(NCCK)などは22日、オンラインイベント「朝鮮戦争70周年、平和を求めるエキュメニカルな取り組み」を開催した。イベントでは、計25のキリスト教団体・教会による共同メッセージ(英語)を発表。多数の民間人を含む約300万人が亡くなったとされる朝鮮戦争を「驚くほど破壊的な紛争」だったと振り返り、現在も名目上は休戦状態にあることを取り上げ、平和条約の速やかな締結などを呼び掛けた。
イベントには、WCCのイオアン・サウカ暫定総幹事やNCCKの李鴻政(イ・ホンジョン)総幹事らが出席。共同メッセージでは、米国と旧ソ連による朝鮮半島の覇権争いとそれによる分断が朝鮮戦争を引き起こし、3年の激しい戦闘後に休戦状態になったものの、その後の長期にわたる冷戦をもたらしたと指摘した。
その上で、①朝鮮戦争の終結を直ちに正式に宣言すること、②朝鮮半島の恒久的な和平実現に向け、平和条約締結のために速やかな一歩を踏み出すことを要求。今は「すでに遠い昔に終戦を迎えていることを認めるとき」と呼び掛けた。
終戦を明確化することで、朝鮮半島の現状を踏まえた現実的な対話と交渉が可能になるとし、「早くに至るべきだったこの歴史的現実の認識と、それを文書化する平和条約が、この地域の緊張と敵意を軽減することに、極めて重要な貢献をすることを期待している」と述べた。さらにその上で、①朝鮮半島周辺における軍事演習の停止または中止、②南北間、米朝間の対話再開、③米朝間の国交正常化を求めた。
また、「朝鮮半島の和平に向けた進展に多くの希望を与えた」として、南北首脳が署名した2018年4月の板門店宣言、同年9月の平壌共同宣言、そして米朝首脳が署名した同年6月のシンガポール共同声明の履行を呼び掛けた。「朝鮮戦争の歴史は、その紛争の悲惨な結果を踏まえると、朝鮮半島の統一は武力や強制的な手段によって追求できないことを、われわれに教えてくれる」とし、朝鮮半島の統一は対話と協力による平和的手段によってのみ達成できると強調した。
共同メッセージは、WCC、NCCKの他に、韓国からは韓国聖公会、大韓イエス教長老会 (統合)、韓国基督教長老会、韓国メソジスト教会が、米国からは米国キリスト教協議会、合同メソジスト教会、アメリカ合衆国長老教会(PCUSA)などが署名。さらに、ロシア正教会やコンスタンディヌーポリ総主教庁、米国とカナダのメノナイト教会、世界メソジスト協議会(WMC)、世界改革派教会共同体(WCRC)のほか、オーストラリアや英国、タイ、カナダ、フィリピン、ニュージーランド、エチオピア、南アフリカのキリスト教団体・教会が署名した。