日本のカトリック聖職者による性暴力被害を訴える信徒らが21日、長崎市内で緊急集会を開催する。集会では被害当事者が実体験を語るとともに、「カトリック神父による性暴力被害者の会」(仮称)もこの日、設立する考え。
集会に出席するのは、幼少期に国内のカトリック施設でドイツ人神父から性的虐待を受け、昨年国内で初めて実名告発した東京都の竹中勝美さん(63)や、聖職者による虐待被害者(サバイバー)の世界的ネットワーク「SNAP(スナップ)」で日本の代表的な立場を務める仙台市の鈴木ハルミさん(67)ら。
性暴力被害に詳しい精神科医・臨床心理士の白川美也子さんも出席し、「宗教者から受けた性トラウマの被害の深刻さについて」と題して語る。さらに、開催地である長崎大司教区における性暴力被害の告発も行うとしている。
日本のカトリック聖職者による性暴力を訴える緊急集会は昨年4月、東京でも開催された。そこでは竹中さんが実体験を語ったほか、第3者委員会による調査や被害者の心のケア、加害神父の公表と聖職停止、ローマ教皇への報告などを要求。集会には、日本カトリック司教協議会会長の髙見三明大司教(長崎大司教区)も出席し、調査を行い公表した上で、教会が被害者に寄り添っていくと約束した。
日本カトリック司教協議会は今年4月、聖職者による未成年者に対する性的虐待の調査結果を公表。被害の訴えが全国で計16件あったことを報告し、髙見大司教は「被害者と関係者の方々に深くお詫びいたします」と謝罪した(関連記事:日本のカトリック聖職者による児童性的虐待、訴えは16件 司教協議会が調査結果を発表)。
しかし集会の主催者側は、竹中氏への調査報告はなく、昨年11月にローマ教皇フランシスコが来日した際も、日本の聖職者による性暴力について報告したとする報道が一切ないと批判。今年5月には、長崎大司教区の信徒からも被害の訴えや相談が入ってきたことから、緊急事態宣言が解除されたこの時期に、被害当事者の声を届ける集会を企画したという。