世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会と核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)日本は11日、核兵器廃絶に向けた「共同提言文」を政府に提出した。
この日は、WCRP日本委からは核兵器禁止条約批准タスクフォースのメンバーである神谷昌道氏(アジア宗教者平和会議〔ACRP〕シニアアドバイザー)とWCRP日本委事務局長の篠原祥哲(よしのり)氏が、PNND日本からは副会長である衆院議員の近藤昭一氏(立憲)と参院議員の藤末健三氏(国民の声)が、東京都千代田区の外務省を訪れ、鈴木馨祐(けいすけ)外務副大臣と面会。趣旨を説明した上で提言文を手渡した。
提言文を受け取った鈴木氏は、「被爆国であり、核の脅威に直面している日本にとって、大変意義深いご提言だと思います」と表明。政府としては「究極的な核廃絶」を目指す一方、日本の周辺国がミサイルの発射実験を繰り返している中で、国民の命を守っていくことが重要だと語り、「核の脅威を減らすために、何が最善で適切な行動なのか、政府としてしっかりと検討していきたい」と述べた。
近藤氏はこれを受け、核開発競争が進む現在の国際情勢を憂慮していると話し、官民合同で国際社会に核軍縮を働き掛ける必要があると強調。神谷氏は、唯一の被爆国として日本は核兵器保有国と非保有国の橋渡し役を担うことが重要であり、民間の立場から核兵器のない世界の実現に貢献していきたいと語った。
この提言文は、4月下旬に米ニューヨークの国連本部で開催が予定されていた「核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議」に合わせて作成された。同会儀は新型コロナウイルスの影響で延期となったが、「核軍縮の努力は延期されてはならない」として同会議の開始日に合わせ、WCRP日本委とPNND日本が参議院議員会館で会合を開催。キリスト教界からも、日本カトリック司教協議会会長の髙見三明大司教や日本聖公会管区事務所総主事の矢萩新一司祭が参加し、日本の宗教者と国会議員が共同で提言文をまとめた。