1. 福音とは何か!
ある大きな伝道集会の講師として招かれたときのことである。多忙のため全く準備ができなかった上に、集会の前の晩は仕事で徹夜になってしまった。ぼ~っとした頭で会場に出向く。私の話を聴くために、数百人の参加者がぞろぞろと入場している。でも、話のテーマも決まっていない。「いったい何を話したらいいのか・・・」
たまたま開会前に講師控室で一人で祈る時間が与えられた。必死に祈っていると、「伝道集会だから、『福音』について語ろう」という思いになった。「そもそも、『福音』とは何か?」クリスチャンにとっては日常用語であっても、未信者の方々にとってはピンとこないのではないか。
スマホで「福音」を検索した。福音とは、新約聖書の原語のギリシャ語では、euangelion(ユーアンゲリオン:良い知らせ)である。どれほど良い知らせなのかというと、ローマ軍が戦争で勝利したその知らせを持って早馬で駆け付けた伝令が、ローマ皇帝にそれを伝えた途端に力尽きて死んでしまう、「死んでもいいから伝えたい!」「死んでも伝えなければならない!」それほどの、最高の良い知らせなのである。
では、聖書の「良い知らせ」とは何か? もちろん「キリストの十字架の死と、その3日後の復活によって、神に対する人の罪が赦(ゆる)され、永遠の命を持つ神の子になれるんだ!」という知らせである。
2. 史上最大のグッドニュース
そう考えた瞬間に、そうだ、福音は「私の人生の最大のグッドニュースだ!」「人類の史上最大のグッドニュースだ!」とひらめいた。
「皆さん、今日は福音を伝えに来ました。福音とは何でしょうか? 福音とは読んで字のごとく、『良い知らせ』すなわち『グッドニュース』です!」と講壇に立って話し始めたら、私の内側に聖霊が火のように燃え上がった。
「それでは、聖書の福音とは何でしょうか? 聖書の福音とは、私の人生の最大のグッドニュースです! 人類の史上最大のグッドニュースです!」と叫んでいた。お腹の底から喜びが湧き起こり、興奮して無我夢中で話し続けた。10分の1も話さないうちに60分の制限時間が過ぎてしまった。
「皆さん、非常に残念ですが、私の話はここで打ち切りです。もし話の続きをお知りになりたかったら、会場の外で販売されている私の本を買って読んでください!」と締めくくった。驚いたことに、閉会後、本を買うために長蛇の列ができ、用意された100冊近くが、あっという間に完売になった。私の内で福音が爆発したのだ。「この福音を語ったら、もう本望だ、もう死んでもいい!」そういう爆発的な思いで語っていたのだった。
3. 福音は大爆発だ!
「芸術は爆発だ!」と岡本太郎は言った。「全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。それが爆発だ。人生は本来、瞬間瞬間に、無償、無目的に爆発しつづけるべきだ。いのちの本当のあり方だ」という。(『自分の中に毒を持て』(青春出版社)より)
ならば、私は、「福音は大爆発だ!」と言いたい。福音を信じ受け入れるなら、その人の内側に大爆発が起きる。それによって、自分で生きよう生きようともがいていた古い人は死んでしまう。その代わりに、神の永遠の命にあふれて生き生きと生きる新しい人(神の子)が誕生する。その最大の象徴が、キリストの十字架の死と復活である。この福音によって、「それを信じ受け入れた人は一瞬にして神の子になる」という大爆発が、日本中に、世界中に広がっているのである。
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