1)「お世話になっている教会の都合で『今週中に部屋を明け渡すように』と言われました。どうか助けてください」
東南アジアからクリスチャンの家族3人が来日して無料で教会に滞在させてもらっていた。しかし、教会の都合で部屋を明け渡す必要が生じた。収入も所持金もないなか、東京で次の転居先を探すのは不可能だ。私の知り合い数人に頼んでみたがどこも断られた。
しかし3人は「一つのドアが閉じたら、神様はもっと良いドアを開けて待っています。これまで何度も体験してきました。だから私たちには平安があります」と言って、毎日祈っていた。明け渡し日の前日に、彼らは数年前に一度会ったことがある牧師に面会した。事情を聞いた牧師はその場で、教会に泊まることを承諾。翌日3人はもっと広い部屋に移動できた。
2)「最近結婚した夫がアフリカ人なのですが、夫はビザがもらえず帰国しなければならないと入国管理事務所に言われました。助けてください」
事情を聞いてみると、彼は日本人と結婚しても、不法滞在が長すぎ、配偶者ビザに切り替えることは不可能だった。祖国からは不景気で仕事は何もないから絶対に帰るなと言われている。妻はアフリカに住む気はもともとまったくない。夫が祖国に帰れば最低5年は日本に戻れない。2人とも憔悴(しょうすい)していた。
たまたま数年前に、私は夫の祖国に仕事で行ったことがあった。アフリカについては極貧、非衛生的、危険という先入観があって行きたくなかったのだが、やむを得ず黄熱病の予防接種を受け、薬を山ほど買い込んで、恐る恐る飛行機に乗った。しかし、現地は緑に覆われた美しい都会であった。人々は親切で、家は大きく、物価は安く、衛生的で特に危険もなかった。帰りの飛行機の中では、「日本とアフリカに半年ずつ住んで行き来できたら最高だなぁ」などと胸が膨らんだ。
自分の体験を話して、「これは神のチャンスですよ! 今は仕事がないようですが、あなたは長年日本に滞在した特別の経験があるから、奥さんと一緒に帰国してもきっと職は見つかりますよ。これから日本とアフリカのビジネスをすれば、大成功しますよ。どうか両国の架け橋となってください!」と励ました。帰る時には、明るい希望を持った2人の目は輝いていた。
3)「一生懸命頑張りましたが、もうダメです。力尽きました。破産するほかありません。どうか助けてください」
知り合いの経営者から電話を受けて驚いた。収支がそんなにひどい状況とは知らなかった。「毎年30万人以上が自己破産しています。あまり気にしないで破産してやり直したらいいんじゃないですか」と言って、数日後に面会した。彼は資金繰りの苦労からか、見る影もないほどにやせ細ってしまい、長年の持病もあり、とても深刻な様子だった。
ところが、話を聞いているうちに、彼は最近新しい仕事を受注していたことが分かった。彼にとってはそれも焼け石に水で、やればやるほど借金が増えるだけだと思っている。でも、さらに深く聞いてみると、その仕事はとんでもない大きな可能性のある仕事であった。
「すごいじゃないですか! これはまさに、千載一遇の神のチャンスですよ! これを成功させれば、負債を全部返済できるだけでなく、会社の株式上場も考えられますよ!」と思わず大声で笑ってしまった。つられて彼も大声で笑った。「本当に久しぶりに笑いました。ずっと笑顔が出てきませんでした。やります! 必ず成功させます!」大きな可能性に目覚めた彼は自信を取り戻し、意気揚々と帰って行った。
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