海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が2日、中東に向け出航したことを受け、日本バプテスト連盟理事会(加藤誠理事長)は3日、自衛隊の中東派遣に抗議し、閣議決定の撤回と、自衛隊の即時撤退を求める声明を発表した。声明では、同連盟のメンバーで、昨年12月にアフガニスタンで殺害された中村哲医師が生前、「自分たちの活動が守られているのは、日本に平和憲法があるからだ」と語っていたことを紹介。その上で、「平和憲法の世界的意味と価値を今一度、考えるべきであり、この時代にあって平和憲法を掲げる国として、また唯一の戦争被爆国として真の意味で世界に貢献しうる道を選び取っていくべき」と訴えた。
今回の自衛隊派遣はあくまで、防衛省設置法に基づく「調査・研究」とされているが、不測の事態が発生した場合、海上警備行動を発令して対応する旨を定めている。声明は、実際に海上警備行動を発令し、武器使用が国、または国に準ずる組織に対して行われた場合には「武力の行使」に当たり、憲法9条に違反すると指摘している。
また、今回の自衛隊派遣で「調査・研究」の対象となる海域は、米軍主導の有志連合による「オペレーション・センチネル(番兵作戦)」で実施するパトロールや監視対象となる海域に限りなく近く、それよりもさらに広い海域に渡っている。防衛省は有志連合との情報交換のため、バーレーンに海上自衛隊の連絡幹部を派遣することを決めているが、「これは実質的に『多国籍軍』に参加すること」と指摘。「今回のように防衛省設置法に基づく『調査・研究』の名目で自衛隊を海外に派遣するなら、今後自衛隊の海外派遣に歯止めがかからなくなる」とした。