日本に関係する船舶の安全確保のため、政府が中東海域への自衛隊派遣を閣議決定したことを受け、日本キリスト教協議会(NCC)は28日、声明を発表し、「深い遺憾の意を表明し、抗議し、自衛隊中東海域派兵に反対する」と表明した。
自衛隊の海外派遣には根拠となる法律が必要となるが、政府は27日、防衛省設置法の「調査・研究」(第4条1項18号)を根拠に派遣することを閣議決定した。これについてNCCは声明で、「国会審議も経ることもなく閣議決定した」「(同法の「調査・研究」は)本来防衛省管轄の事務について規定するもの」と批判。さらに同法第5条では「自衛隊の任務と権限は自衛隊法に従う」と規定されているとし、自衛隊の派遣が「調査・研究」の名目で安易に行われれば、「自衛隊の海外派遣に歯止めがかからなくなる危険をはらんでいる」と警鐘を鳴らした。
また、自衛隊が中東海域に派遣されれば、武力行使可能な米軍主導の「有志連合」諸国の軍隊と、情報提供などの関わりを持たざるを得なくなると指摘。その場合、「『武力行使』を否定する憲法9条の明白な違反」になると主張した。
一方、中東海域における安全の危機については、ドナルド・トランプ米大統領が「イラン核合意」から離脱したことに起因すると指摘。安倍晋三首相は「自衛隊派遣ではなく、むしろ、トランプ大統領らに説得をもって働きかける外交力を発揮」すべきだと語った。
派遣されるのは海外自衛隊の護衛艦と哨戒機で、部隊は260人を超える規模になる見通し。哨戒機は来年1月から、護衛艦は来年2月から派遣される。一方、派遣期間は1年間と定められているが、延長する場合は閣議決定や国会報告を行うことが義務付けられている。