イラクのカルデア典礼カトリック教会の最高指導者であるバビロン総大司教ルイス・ラファエル・サコは、イランの英雄的軍事指導者ガセム・ソレイマニ司令官亡き後の中東情勢を「噴火寸前の火山」に例え、懸念を示した。
ソレイマニ氏は3日、イラク国内でドナルド・トランプ米大統領の命令によるドローン攻撃で殺害された。この後、イランの保守系紙ケイハンは、「強力な報復が行われる」と1面トップで報じるなどした。
サコ総大司教は、無実の市民が油に対する「炎」になると危惧を示し、イラクのキリスト教徒とイスラム教徒の双方に平和を祈り求めるよう要請した。「イエス・キリストのバプテスマは、神が創造された人間に対する神の愛の広さ深さを明らかにしました。それは、互いが愛と平和の友愛関係に生きるためです」
サコ総大司教は声明で、イラク人はソレイマニ氏の殺害をめぐって「いまだにショック状態にある」と指摘。「イラクが、国民とその財産を守ることができる主権国家ではなく、戦場に変わってしまったことを彼らは恐れているのです」と述べた。
「このような危機的で緊張した状況では、関係者全員が円卓会議を開いて、イラクが予期せぬ結果を免れる合理的かつ文明的な対話を行うことが賢明です」
「全能の神が、イラクと周辺地域に、私たちが切望している平和で安定した安全で『普通の生活』をお与えくださるよう私たちは懇願します」
ソレイマニ氏の葬儀は6日、イランの首都テヘランで執り行われ、大勢の参列者が集まった。米ニューヨーク・タイムズ紙(英語)によると、後継者のエスマイル・ガアニ氏は「間違いなく、何らかの行動が取られるだろう」と断言。「全能の神は報復すると約束しており、中心的な復讐者は神である」と述べた。
ソレイマニ氏の娘であるゼイナブさんは弔辞で、「米国とシオニズム(イスラエル)は、父の殉教がレジスタンスの前線を覚醒し、自分たちに暗黒の日がもたらされることを知るべきだ」と警告。「狂気のトランプよ。無知の象徴でシオニストの奴隷よ。私の父を殺害すれば、それですべてが終わると思ってはならない」と述べた。
イスラム教徒を対象にした伝道活動を行っている「グローバル・キャタリティック・ミニストリーズ」(GCM)のアリ氏(仮名)は、イランを含む中東諸国では、ソレイマニ氏の死により、今後キリスト教徒が苦しむ恐れがあると、ミッション・ネットワーク・ニュース(英語)に語った。
「イランおよび多くの中東諸国は、キリスト教を西洋の影響力、特に米国の影響力と見なしています。それらの国々が西洋文化に対し何かを主張したい場合、常にキリスト教徒を拘束したり、さらに悪いこと、つまり、殴ったり、拷問したり、殺したりします」